Taxi

公開されました: 3 13 , 2017
投稿者: スティーブン・ホワイト

スタートアップ企業が破壊的テクノロジーを引っさげて表舞台に登る今日、名を成したベンチャーが上場する際には、株価と収益性は無関係といってよい。20年前のドットコム・ブームのときがそうだったように。Snapchatの運営企業であるSnap Inc.、Airbnb、Uberなどは軒並み10億ドル以上の企業価値がつき、「ユニコーン」と呼ばれている。Snapchatの時価総額は現在のところ250億ドルから350億ドルだが会社が利益を出したことは一度もない。資産から負債を差っ引いた純資産はたったの15億ドルだ。Airbnbの時価総額は300億ドルであり、ライバルのヒルトンよりも70億ドルも高い。Airbnbが会社として初めて利益を計上したのは2016年下半期だった。Uberの企業総額は600億ドルから700億ドルだが、ブルームバークによると、昨年は30億ドルの赤字だった。

Uberは近年、メディアの評判が芳しくない。記事によると、UberはGrayball(おそらく「反対票を投じる」という意味のblackballに基づくネーミングだ)というソフトウェアを導入していた。このシステムは、いろいろと詮索してくる規制当局の役人を見つけ出し、サービスを提供しないようにしていた。これが明るみに出て、UberはGrayballを停止する、と発表した。先月にはUberで働く女性エンジニアからセクシャルハラスメントで訴えられている。その女性が上司からセクシャルハラスメントを受けたのみならず、女性がはっきりとした証拠を人事部門に提出したにも関わらず、人事はしかるべき措置をとることを怠った。さらには、会社はセクシャルハラスメントを訴えた女性を調査するために弁護士を雇ったという。Uberは組織ぐるみで、その女性の評価を貶める機会を探していた。

なによりも最もダメージがきついのは、ブルームバークに投稿されたとあるビデオだろう。CEOのトラピス・カラニックがUberのドライバーと激しく言い争っている姿がダッシュボードのカメラに捉えられていた。

申し上げたいことが2つある。まず、私はこのUberドライバーは大した人物だと思う。どこにでも居そうな男性だが、彼にとっては雲の上のボスとも言えるような人物に対して、卑屈になることもなく、恐れもしていない。このドライバーは、自分の仕事以外に失うものなどほとんど無い、と思われるかもしれない。だが、カラニックはセレブリティであり(カラニックはドナルド・トランプの技術諮問委員会に加わったが、Uberの顧客からの苦情を受けて辞任している)、普通の人はスーパーリッチな有名人の前では、もじもじオロオロするだけのマヌケに成り下がってしまう。

第二に、Uberをめぐる様々なニュースに振れた後、メディアや投資家は、カラニックは600億ドル企業のCEOとしてやってゆけるのか、という疑問を呈するようになった。真の意味での企業価値は存在せず、また、持続的な収益源も確立されていない状況では、Uberの企業価値は、リーダーのカリスマ性に掛かっている。リーダーが将来像を示し、示し続けてゲームを戦い続けるしか無い。元になったアイデアが素晴らしいものだった、とお考えになるかもしれない。だが、アイデア自体は価値を維持し高めてゆくものではない。アイデアは常にコピー可能だし(UberはLyft、Gettなど、Uberクローンの競合が存在する)、カリスマ性のあるリーダーが居なくてもコピーは簡単にできる。

カラニック氏のマネジメントスタイルは、英国大手量販チェーンBHSのオーナーであるフィリップ・グリーン卿を思い起こさせる。彼ののスタイルも人目を集める派手なものであり、カリスマ的でもあった。だがBHSの経営が行き詰まり、議会がBHSの従業員退職給付積立金の横領に関する調査に着手した時には、虚勢と説得、他責、そして責任転嫁に頼らざるを得なかった。ただし、グリーン氏はカラニック氏と異なり、長年に渡り、彼の(もしくは彼の配偶者が所有する)企業帝国から利益を上げてきた。彼の言葉と行動はある程度一貫していると証明されている。

当社のブログを読んで頂いている方は、時としてセレブリティの企業オーナーとの交渉に臨み、自分の交渉パワーが劣っていると感じることもあるだろう。そんな時はカリスマ性の向う側にあるものを覗き込み、最新の財務資料に目を通すと良い。これこそが、真のパワーが宿る場所だ。

原文: Taxi


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