EU市民は交渉材料か?

公開されました: 10 24 , 2016
投稿者: ロビン・コープランド

本稿は人気のブログ記事にはならないだろう。それに、正直考えることすら気が進まない。他の人と同じく自分もフェアネスや善意を持っているつもりだが、これから書く内容はそこに障る。それにしても、我々の代弁者たる議員たちを張り倒したくなる。安っぽい義憤をぱちぱちと弾けさせながら、聖人ぶって、しかしながら上から目線で、勿体つけた喋り方で、ビジネスやその他の常識について信じられないような無知を晒す。そして来るべき交渉において、英国民を弱いポジションに追い込んでいる。

スコットランド国民党SNPは、本日、下院でとある議案を上程した。SNPは過去にもいろいろな議案を上程してきた。受けのよくない議案の一例として、スタートレックを未来へのビジョンとして称える、というものがある。一連の流れの最新作は、現在英国に住んでいるEU市民たちに対する我が国政府の酷い対応を遺憾とし、英国におけるEU市民の扱いを、これからおこなわれるEU離脱交渉のテーブルには載せないことを確約する、というものだった(ちなみに私は「EU移民」という言い方は大嫌いだ)。「EU市民は交渉材料ではない」SNPのとある高官はこう喝破した。そして、おわかりだろうか?この主張は、確かに正しい。

だが、それと同時に、この考えは、残念ながら、大切な点で大きな間違いを犯している。

我々がこれから始めようとしている交渉は、EUの外に出てゆく英国にとっても、また、(これもはっきり言っておくが)EUに留まる側にとっても、過去に一度も体験したことのないようなものだ。危険はそこかしこに口を開けており、非常に厳しいものになるだろう。交渉者たちは、自分たちがおこなう譲歩は、一つの例外もなく、合意改善に繋げてゆかなくてはならない。あえて指摘したくはないが「EU市民が英国でこれまでと同じように住み続けることを許す」のは、まさにこのような、交換の対象とすべき譲歩だ。これはもちろん、EU諸国におけるUK市民の扱いについても全く同じことが言える。現在ヨーロッパに住居している英国民は、これからどうなるのだろうか?

SNPはこう言うだろう。「いやいや、彼らについては心配しなくてよろしい。我々がここでEU市民を適切に処遇したように、EU諸国も自国に住む英国人を正しく処遇するだろう」

ふむ。そういうことか。

よろしいか?これは非常にシンプルな話だ。交渉者は、何かを見返りに得ること無く、相手に譲歩を与えてはならない。絶対に、どんなことがあっても、だ。もし見返り無く譲歩を与えてしまった場合、行く末には更なる譲歩を強いられることになるだろう。その一例が、EU諸国に住んでいる英国民への、EU諸国からの保護だ。SNPはこんな大言壮語を語るだろう。「人々を分け隔てなく、このように処遇するのはなんと素晴らしいことでしょう」まぁ、それはそうだろう。であるが、我々が無条件に譲歩をした後には、それとは別の展開が待ち受けていると断言する。

時として酷い絶望感を感じることがある。本当に、心から。

 

原文:  When are EU Citizens Bargaining Chips? When They Are!


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