交渉のプレイグラウンド

公開されました: 10 03 , 2016
投稿者: アラン・スミス

明日は歯医者の予約がある。私が予約した歯科医は、歯について多くのことを知っている。これは紛れもない事実であると、私は自信と確信をもって言い切ることが出来る。証拠の一つとして、前回、歯の詰め物が割れて外れてしまった際に、彼はあざやかに修復することが出来た。問題を抱えた歯に対処する術を知らなければ、このようなことは出来ないはずだ。もちろん、その日、彼は単にものすごくラッキーだった、ということかもしれないが。

もう一つの証拠は、医院の壁に飾っていある額入りの学位証明書だ。学位証明を得るためには、試験で良い成績をおさめ、私の歯を治療する前に数千本の歯をうまく治療してみせなくてはならない。

週末、私は妻とピアノリサイタルにゆく。私はこれまでピアノリサイタルに行ったことがないし、また、これから先行くこともないだろう。リサイタルは、我々の住む街のホールで行われる。私はピアニストがどれくらい上手い人なのか、また名前も、分からない(聞いたことのない外国人のようだ、きっと上手いのだろう)。

私は、彼女が弾くピアノは素晴らしいと期待してよいだろう。長いツアーの最後のリサイタルでチケットが完売になるピアニストが、象牙の鍵盤をランダムに叩いているだけということは、まずありそうにないのだから。

さて、今度は、我々がこれから交渉のために会議室に入る状況だとしよう。難しいビジネスの話をするためかもしれないし、苦情や対立を話し合うためかもしれない。自身と相手のスキルレベルについて、上の私と同じくらい(?)確実に見切れる人は、どれくらい居るだろうか。

もちろん「完全な交渉と決着」などというものは存在しないことは心得ている。両者が考えうるベストのポジションを実現し、変数の交換を通してこれ以上無いというレベルで価値を創り、適切なスキルをもって、協調的なトーンを保ちながら相手を同じレベルで巻き込んでゆく、というようなことは、めったに起こらない。

その一方で、我々が日々おこなっている交渉において、十分な準備やリハーサルが行われることなどめったにないのも確かだ。我々は日々交渉のトレーニングを実施し、また、コンサルティングのために経営会議の場を訪れることも多い。そのような場において、もっとも良く出会う交渉戦術は、恐ろしいことに「座して相手の行動を待ち、それから対応を考える」というものだ。

テーブルの反対側に座っている人(3者以上の交渉なら全員)について、通常手に入るベストの情報は過去の交渉実績のみであり、これは少しばかり心配だ。その過去実績がぱっとしないものであったとしても、ともかくその情報は、実績として横たわっているのだから。

もちろん、ある種の人たちは、生まれつき他者よりも秀でている。それでも、生まれつきの優れた交渉者でも、さらに改善し磨きをかけることは出来る。トレーニングという形になるかもしれないし、1対1のコーチングかもしれない。

歯科医やピアニストが練習を繰り返すのと同じことだ。交渉も「プレイグラウンド」で練習してみてはどうだろうか。意味のある練習になるはずだ。

 

原文:  The Infinite Negotiation Monkey Cage


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