自信に満ちたストーリー

公開されました: 4 18 , 2016
投稿者: スティーブン・ホワイト

自信に満ちた態度は、交渉者として結果を出すために必要な資質の一つだ。ヘッドハンダーや採用担当者は、組織を代表して交渉する立場の人(営業、マーケティング、購買や役員レベル)をリクルートする際に、この資質を探す。候補者の人物特性をテストする際、自信についてのテストは重要だ。

交渉で良い成果を出すために自信が大事なのは言うまでもない。だが、自身に満ちた振る舞いは、説得において、より重要だと考えている。細かい違いに拘泥しているように聞こえるかもしれないが、相手を説得することが出来れば、交換したり譲歩する必要はなくなるのだから。

この考えを裏付ける最近の新聞記事を2つ紹介しておく。まずは最初の例。サザンプトン大学のジュディス・ラスリアン教授は、わずか数ヶ月の間に、14万ポンドものお金をジョン・ポーターと自称するネット詐欺師に送金してしまった。ラスリアン教授が頭の良い女性であることは間違いない。教授は、以下のように認めている。今にして思えば、自信満々の語り口のそこかしこに、トリックがちりばめられていた。にもかからわず、その人物は確かに実在しているように思えたし、だからおかしなサインを無視して、その人物に送金を続けてしまった。「私が不安や疑いを抱き始め、彼にそのことをぶつけた時は、彼はとても親切に私の疑いを晴らす言葉をくれました。......私は、自分が送ったお金は意義があるのだと説得されていました。そして、二人はともに楽しく暮らしてゆくはずでした」

二番目の例は2009年に遡る。ニューヨークの高名な画商であるノエドラ・ギャラリーが、過去20年にわたって販売してきた6000万ドル相当の美術品が偽造であることが判明し、閉店した。販売された絵画は、ロングアイランドの画商であるグラファイア・ロザレスから調達していた。ロザレスが語る絵画の由来は信じるに足るものと思われたので、画商の経営者たちは本物と信じ込んでいた。ここでも、今振り返ってみれば、そこかしこにおかしな兆候はあった。例えば、ノエドラ・ギャラリーの代表アン・フリードマンの自宅にはジャクソン・ポロックの本物の作品が飾られていたのにも関わらず、贋作の隅に記された作者の署名の綴は間違っていた(Pollockが正しいが、Pollokとなっていた!)。

そんな馬鹿な、と思われるだろうか?ジュディス・ラスリアン教授もアン・フリードマンも、知的レベルは極めて高い人物だろう。にもかかわらず、馬鹿げた詐欺に引っかかるほどに愚かだったのだろうか?そんなことが本当にあるのだろうか?ひょっとすると、今この瞬間、私はトリックをしかけて、あなたをかついでいるのではないか?(していません!)。

実のところ、元来、人間は何かを信じるようにデザインされている。これは悲しい事実だ。すばらしいストーリーや自信に満ちた態度には、抵抗なく乗ってしまう。ジュディス・ラスリアンが詐欺を知った時、彼女はジョン・ポーターも被害者だと言い張ったという。彼女は、自称ジョン・ポーターこそが詐欺をしかけている人物だという事実を受け入れられなかった。アン・フリードマンが署名の綴りについて尋ねられた時「私は気が付きませんでしたが、もし気がついたとしても、本物と考えていたでしょう」と述べている。いずれのケースでも、詐欺師はストーリーテラーとしての能力に長けていおり、自信満々で、矛盾する証拠がつきつけられていても、恥すべき嘘を売りつけることができた。

人間の「信じたい」という強い傾向のおかげで、自信に満ちた態度で相手の説得にあたれば、成功率をあげることができる。自信に満ちた交渉者とおなじように。ストーリーを自信を持って語れる人物は、そのストーリーが真実かどうかにかかわらず、説得が上手い。

というわけで、もしあなたが交渉にかかわるポジションで採用をかけているなら、何かストーリーを語ってもらうようにしよう。そして、そのストーリーを信じられるかどうかと自問しよう。心理テストよりも確実な結果が得られるだろう!

 

本稿はMaria Konnikova氏の著作‘The Confidence Game: Why we Fall for it…Every Time’を参照した。

原文: Tell Me a Story


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