寿司マニア

公開されました: 7 25 , 2016
投稿者: リチャード・サベージ

 ノースロンドンのとあるレストランで、寿司が耳目を集めていると最近耳にした。そのレストランを教えてくれた友人によると、寿司の食べ放題を提供している、という。

今このブログを読んでくださっている貴方がどのように捉えるかは存じないが、私にとって「食べ放題」は、一回の食事で健康上適切な上限をはるかに超える大量のカロリーと化学調味料の摂取を意味する。古ぼけたレスタースクエアにやってくる観光客や空腹の学生の腹を満たすのが食べ放題だ。

耳目を集めている理由は以下の様なものだ。まずは、寿司は高級なジャンルの食事であり、騒々しいプロモーションとは通常は無縁という点。さらには、寿司で提供されるのは食材は大部分が日本から輸入している高品質な魚であることを考えるに、レストランにとって寿司の食べ放題は経済的に成立するのかという疑問を感じざるを得ない点だ。レストランは、飢えた大食漢のせいで経営が危機に瀕するリスクにどのように向き合うのだろうか?

そこで、私は食べ盛りの娘二人とともに、このレストランに行ってみることにした。ノースロンドンのレストランは、どれもみんなお気に入りだ。

行ってみて分かったのだが、食事は悪くなかった。いや、それどころか、とても美味しかった。レストランは宣伝通り寿司を「食べ放題」で提供していた。出された寿司の品質は高く、量も十分だった。だが、驚いたのは、我々が交渉スキルトレーニングでいつも教えていることをやっている、という点だ。トレーニングを受けていない数多の交渉者は、交渉の最中にバトルに突入してしまう。自分たちの利益を押し通すことことが努力の中核と考え、相手の視点やニーズ、相手が必要としていることなどにはほとんど関心を払わない。

結果は、相撲だ(今回のブログ記事は色々なことを日本から拝借している)。双方の当事者はお互いに激しく身体をぶつけあう。自分の重さを頼りに相手を土俵の外側に押し出すことだけを目指して。競争の激しいレストラン業界の中で、これまであまり派手な宣伝を繰り広げてこなかったレストランが、提供するサービスの質を高めようと考えた。彼らは「食べ放題」メニューを適切な値段で提供れば、顧客のニーズを満たすかもしれないと考えた。秘訣は、優れた交渉者が交渉で実践するのと同じく、相手の望むものを与えることだ。自分に有利な条件で。

メニューに詳しく眼を通してゆくにつれて、このレストランにとっての有利な条件が何を意味するのが、浮かび上がってきた。じつのところ条件はたくさんついており、それらを見つけ出すだけでランチ時間を使いきってしまったほどだった。

メニューを詳しく見ると「食べ放題」は(外の派手な看板にもかかわらず)ランチタイムにしか提供されていない。1時間45分の時間制限がある。子供はほぼ半値だが、子供価格は身長が120cm以下のみに適用される。食べ放題は最低限でも2名からだ。一時に注文できるのは6貫まで。追加料金が必要な寿司がたくさんある。価格は一人£15.80ポンドだが、10%のサービス料が加算される。ああ、それから、テイクアウトはダメだ。もし何か食べ残した場合、食べ残しは課金される。

この「食べ放題」(終わりなき数多の条件が含まれている)に興味深い点が2つある。

第一に、これが上手く行っているという点。レストランは顧客に望むものを与える。誰もがそのレストランのことを友達や同僚に紹介するようになる。だが、これらはすべてレストランに有利な条件で組み立てられている。つまり、レストランは相撲ではなく柔道をプレイしている。

第二には、食べ放題であるにもかかわらず、相撲取りのような体型にはならなくて済む、という点だ。

原文: Sushi Mania - Give Them What They Want, But On Your Terms


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