睨み合い

公開されました: 10 18 , 2016
投稿者: ロビン・コープランド

ベン&ジェリーのアイスクリーム、ポットヌードル、除菌洗剤パーシル、ダヴの石鹸、マーマイト。これらの商品の共通点は何だろうか?全てユニリーバが作っている。ユニリーバとテスコの共通点は何だろう?テスコの現在のトップであるデイブ・ルイスは、テスコにヘッドハントされる前、キャリアの大部分をユニリーバで過ごしてきた。この話と交渉とは何の関係があるのだろう?両者はお互いに相手を脅しながら長く睨み合っていたが、10月13日には双方ともに頭をがつんと叩かれ、ある合意に至ったようだ。我々Scotworkは、交渉がおこなわれる理由として最もよくあるのは外部状況の変化だという考え方をしている。テスコとユニリーバの間に起こったことは、まさに完璧な例だ。なにしろBrexitほど巨大な環境変化はないのだから!

英国はEUから去ることになった。この決定はあちこちに色々な波紋を広げたが、その中でもとりわけ大きな波は、不確実性だろう。Brexitはハードランディングになるのか、はたまたソフトランディングか?EUとの間で移動の自由は維持されるのか、否か?リスボン条約50条(訳注:EU離脱手順)は、すぐに発動されるのか、それともまだ先なのか?これらの問いにはまだ答えがない。不確実性はそこかしこに蔓延している。そして、ビジネスも市場も不確実性を嫌う。不確実性のある意味当然の結果として、ポンドは、主な貿易相手であるヨーロッパや米国の通過と比して、大幅に安くなった。だが逆にFTSE 100はこれまでの最高値を記録しているという点は興味深い。為替のために、英国の輸出製品はかつてない水準まで安くなっているのが理由だ。もちろん好ましくない面もあり、海外から英国に輸入されてくる製品は、国内でこれまでよりもずっと高くなった。

ユニリーバはテスコの最大のサプライヤーだ。これは想像だが、ユニリーバにしてみればテスコは英国市場への最も太いパイプなのだろう。誰かが他者を必要としており、他者もその人を同じくらい必要とているなら、ビジネスの取り決めをする際には、お互いに荒っぽい話になるわけがないとお考えになるかもしれない。だが時折、そう簡単に物事が運ばない時がある!

ユニリーバは世界中に工場を持っており、加えて製造のために世界中から原材料を調達している。ポンドはクラッシュし、英国外で生産された製品や原材料は以前と比べて高くなった。コストが増えた分の、全部ではないにせよ一部を取り返そうとするのは理不尽な話ではないだろう。予定外のコスト増は10%程度だった。テスコは、もはや習慣と言っても良いかもしれないが、ユニリーバからの値上げ要求を拒否し、重ねてユニリーバには以前に同意した価格のみを支払うと通告した。ユニリーバはそのような条件で製品を供給することを拒み、結果として、両者は行き詰まりに陥った。

この2者間のパワーバランスを考えてみると、興味深い。

  • テスコは英国市場において支配的なシェアを持っているが、ユニリーバは今回の出来事を「戦いの場の地形をならす」重要な機会と見ているのかもしれない。テスコの影響力を1段階か2段階か下げたることが出来るかもしれない。
  • テスコは以前ほどに市場支配力があるわけではなく、サプライヤーの酷い扱いが報じられた結果パブリシティの問題にさらされている、という点にユニリーバは着目しているのかもしれない。
  • ユニリーバは多くのブランド製品を抱えているが、テスコの側にしてみれば「自社ブランド」製品、および、他のブランドに力を入れる機会かもしれない。
  • テスコは、他のチェーンストアよりも自分たちのほうがずっと来店者数が多いと主張するだろう。だがユニリーバは、もしも消費者が買いたい商品が店に無ければ消費者は他の店で買うようになる、と反論できるはずだ。
  • ユニリーバ(と、おそらくテスコCEOのデイブ・ルイス)は、以前とある大手流通に同じことが起こった時のことを思い出すだろう。ベルギーのデルヘイズとユニリーバは、2009年に似たような状況に陥った。最終的にはデルヘイズの側が譲歩せざるを得なくなった。ユニリーバのブランド製品が棚になければ消費者は他のスーパーマーケットに行ってしまうと証明されたからだ。デルヘイズは来店者の30%を失った。消費者はユニリーバのお気に入りの製品を購入するために他のスーパーマーケットに行き、他の買い物も行った先のスーパーマーケットで済ませていた。

テスコはデルヘイズよりもずっと大きな市場で事業をおこなっているが、それでも、デルヘイズが過去事例として存在することは間違いない。なんと言っても、現テスコCEOのデイブ・ルイスは、デルヘイズの件が勃発したときにフェンスの反対側であるユニリーバに居たのだから。おそらく、ルイスCEOはデルヘイズの一件を思い出し、早期の事態収集に動くだろう。

さて、交渉について。どうやらテスコもユニリーバも交渉の席につき、決着を探し始めたようだ。最終決着がどんなふうになるのか我々にはまだ分からないが、私は次のような形になるのではないかと考えている。テスコは支払い条件を改善し、ユニリーバ商品の扱いを増やし、全てではないにせよ、いくつかの商品で10%値上げを承諾する。その見返りに、ユニリーバはいくつかの商品では値上げ幅を10%よりも低く押さえ、さらには、次の定期的な交渉まで値上げをしないことを確約する商品を設定する。次の定期的な交渉がいつでるかは別にして。交渉相手が、合意をそれぞれのステークホルダー(顧客、従業員、株主)に売り込めるような弾薬を与えた、ということかもしれない。

では次にBrexitについて論じる。いや、今はやめておこう。

原文:  Stand-off in the Aisles


共有する

blogAuthor

筆者について:

ロビン・コープランド
No bio is currently avaliable

Latest Blog:

不利な取引をするならしないほうが良い?

Brexit交渉は、この先2年から3年の間、交渉について格好のネタ元でありつづけるだろう(それよりもずっと長くなると主張している評論家も居る)。このブログを読んでいる海外の方には、前もってお詫びせねばならないかもしれない。多くの教訓を引き出せるだろうし、それに何よりも、以下のような人にとっては教訓のある話になるだろう。...

Latest Tweet:

スコットワーク株式会社
スコットワーク株式会社 103-0023
東京都中央区日本橋3-3-6
ワカ末ビル7F
Japan
+81 3 6202 2839
info.jp@scotwork.com
Follow us
cpd.png
voty2016_sign_gold.png