怒りの向こう側

公開されました: 3 21 , 2016
投稿者: アラン・スミス

とはいっても、向こうに行き着くためには備えが必要だが。

交渉において正しい選択をするためには、冷徹なロジックに基づき、無駄な言葉をそいで、移ろいゆく状況を注意深く分析しなくてはならない。だが問題は、仕事や個人生活における交渉で膨大な決断をせねばならず、そのために十分に時間がとれない、という点。我々の行動のかなりの部分は感情にもとづいている。未だに論議が続いているが、脳の高次機能は、既に下してしまった決断に再び分け入って、決断の後で意味をつけてゆくという面がある。

アリソン・ウッド・ブルックスがハーバード大学MBAの一環としておこなった研究によると、我々が日々おこなう交渉の結果は、対立・不一致にどのように向き合うかという姿勢に大いに影響を受けるという。研究では学生を2つのグループに分け、対立・不一致の状況に置いた。一方は顧客でありもう一方はサプライヤーとなる。この二者は長期にわたり取引をしてきたが、最近その関係がおかしくなっている、という設定だった。双方にとって満足のゆくソリューションを見つけなくてはならず、取引関係を見直すことも出来れば、高くつく決裂や法的手段も可能だった。この状況は文字通り何百回も繰り返され、最終合意が記録された。

ただし、このうち半分では、参加者の一方は最初の10分、交渉に入る前に怒りを露わに攻撃的に行動するよう事前に指導された。問題が生じたのは個人のせいと相手を非難し、相手が喋るときは割り込み、大声をあげ不愉快な振る舞いをした(参加者はすぐにこの役割に夢中になり、相手の出自を問い、罵り、テーブルを叩くようになった、それも、驚くべきクリエイティブな形で!)。

10分後にはチームは怒りのふりをやめ、決着を探し始める。

結果は読み物としては興味深いが、驚くようなものではなかった。

意図的に怒るように仕向けられていたグループでは、合意に達する率ははっきりと低かった。また、その中で合意の達することが出来た少数のグループも、合意内容はお粗末なものであり、本来なら得ることの出来たはずのお金はテーブルに置き去られたままだった。どちらの側も価値創造を試みた形跡はなかった。もっとも重要な点として、合意には達したものの、それが実行に移される可能性はずっと低いものだった。

ここから得られる学びはなんだろうか?

怒りは、それが顕になっていないとしても、非生産的なものだ。また、相手の怒りに不信感を露わにした応答を返すことも同じく非生産的だ。

言うまでもなく、我々は相手が怒ることを(本当に怒ることも、戦術的に怒ることも)止めることはできない。だが、自分自身が相手の怒りにどのように反応するかをコントロールすることは出来る。相手が怒っているのなら、あなたは感情としてはそれをしたくないと感じていても、相手を宥め、謝罪するのが良い。もう一つ考えるべきは、一度限りのミーティングで終結する交渉は殆ど無い、という点、時間とプロセスをコントロールして、感情と根本原因を分離し、物事が落ち着くまで一時休止を取ると良い。

また、準備において、自分の感情をどのように使うのかをあらかじめ備えておくと良い。相手にどのように反応するのか、相手が持ち出してくる課題や感情にどう向き合うのか、相手が怒っていたり過度の不信を抱いている場合、自分たちはどうするのか。

時間の制約がきつい日々の仕事の中でこれをきちんと実施することは難しいのは解っている。だかこれは、時間の使い方としては悪く無い。

原文: No Hard Feelings 


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