未来のゴール

公開されました: 2 08 , 2016
投稿者: デビット・バニスター

数年か前のこと、米国の著名なビジネススクールがグローバルM&Aの長期的な結果に関する研究報告を発表した。記事の結論は、手短にまとめれば次のようなものだった。M&Aの成果は当初の期待よりもずっと少ない。案件を進める際の予測と、予測に基づいて株主も認めた期待成果に対して、期待通りの成果を実現した案件は全体の1/3にも満たなかった。興味深いことに、Scotworkが現在進めている交渉に関する研究によると(この研究は数ヶ月以内にもう少し詳しいことが発表できそうだ)、適切なトレーニングを受けていない交渉者は、交渉を、長期的な関係や相手とのより強い結びつきを實現するプロセスと認識できない傾向にある。交渉を必要悪のように見做しているようだ。これに対して、トレーニングを受けた交渉者は全く違った見方をする。

最近タイムズ誌で短い記事を読んで、上記を思い出した。最近マンチェスター・ユナイテッドとモナコの間でまとまった交渉についての記事であり、こちらも私の関心を惹きつけた(念の為に申し上げておくと私はマンチェスター・ユナイテッドの古くからの大ファンだ)。2015年にモナコからマンチェスター・ユナイテッドに移った若手アンソニー・マーシャルの移籍契約金は8000万ユーロであり、ティーンエイジャーのサッカー選手の契約としては史上最高額だ。マーシャルはその時まだ19歳だった。金額以外の細かい条件も少しずつ聞こえてきており、いつくかの興味深い点を含んでいる。マーシャルが25点のゴールを決める毎にモナコは1000万ユーロを受け取る。さらにマーシャルがバロンドール(オスカー賞のサッカー版)の選考に残った場合、1000万ユーロがモナコに支払われる。逆に、もしマーシャルがこれら2つのターゲットを達成しなかった場合、マンチェスター・ユナイテッドはこの選手を放出することが出来る。放出が2018年以前であり、移籍金が6000万ユーロから1億ユーロの間であれば、モナコはマンチェスター・ユナイテッドが得た利益の半分を手にすることが出来る。

モナコの交渉者は実に賢明だ。マンチェスター・ユナイテッドにとってマーシャルがどれだけ重要なのかを認識し、マンチェスターがこの若い選手を支えきれなくなった時には将来の移籍からもたらされる利益をも手にしたのだから。どんな交渉にも常にリスクが付きまとう。交渉結果がもたらす変化に意義があると信じて交渉者は静止している状況を動かす。その一方で、モナコの交渉者からの教訓を見るに、交渉には不可避のリスクを最小化するための要素をいれこむことも出来るようだ。もちろん我々は8000万ユーロの取引が締結されてゆく中でどのような譲歩が交換されたのか、知るよしもないが。それでも、我々の日々の交渉の中にどれほど創造的な要素を入れることが出来るか、未来の出来事を交換してそこから利益を実現してゆくのかは、純粋にクリエイティブなプロセスだ。

私はといえば、アンソニー・マーシャルがゴールを決めまくり、1000万ユーロの支払いもおぼつかなくなるくらいに活躍してくれることを祈っている!

 

原文:  Get your kicks from future-proofed deals – it’ all a matter of goals!


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