差異と交渉

公開されました: 4 04 , 2016
投稿者: ロビン・コープランド

交渉は関わる人に力を与える。多様なバックグラウンドを持つ人々、立場が対局にあるような人たちが一堂に介し、双方にとって長期的なメリットを作り出しながら合意に至ってゆく。相手と取引をするのか、条約に調印するのか、そうすることも、そうしないことも出来る。交渉のプロセスでは、双方の差異は差異として認め、差異をそのままとして、より良い世界を作り出すことができる。

対立不一致を解消する手段をいろいろ試してみてうまく行かず、次の手として交渉に至ることが多い、という点は興味深い。第一次世界大戦が集結した1918年、戦勝国は負けた国に過酷な倍賞条項を課した。その苛酷さのあまり、第二次世界対戦はその前の大戦の続きと広く信じられている。戦勝国は自分たちの意思をそのまま押し通し(なにしろ自分たちは勝ったのだからそれが正しいと疑いもしなかった)、結果は平和が犠牲になった。経済は崩壊し、人々の人権は蹂躙され虐げられる。そして激しいインフレ。これらは独裁者アドルフ・ヒットラーの支持基盤となり、国家社会主義ドイツ労働党は選挙で43.9%の支持率を得て政権を得るにいたった。民主的なプロセスが、彼らが切望していたものを民主的に彼らに与えるや否や、第二次世界大戦が終わるまで、民主的なプロセスは生き返らなかった。

第二次世界大戦終結後の交渉はこれまでよりも人道に基づいた視点からおこなわれ、ドイツには経済の復興と政治的な独立性を取り戻すための支援が行われた。

虐げられ自分たちは無価値だという感情を持ては、人々は立ち上がる。その際に必要なのは言い分だ。ヨーロッパで現在テロが相次いでいる。テロの当事者たちは、自分たちが西欧文明の恩恵を受けているにもかかわらず西欧文明を憎悪し、大多数のイスラム教徒が到底共感できないような狂信的なイスラムの理解に依って自分たちを正当化している。そして様々な「ナショナリスト」組織が、思考が止まった、知性の切片も無い態度をもってこれに答える。宗教、肌の色、国籍に至るまで、なんでもかんでも「違い」を感じる対象への暴言だ。こういったチンパンジーは「ティーパーティー」を仕切るが好きだろうが、ありがいことに実際に見かけることはあまりない!

北米大陸南部の今日の状況を見るに、キューバアメリカ合衆国は、50年間にわたって対話が失われていた。どちらの国も「人権」とは何を意味するかについて、完全に異なる見方をしていた。アメリカにグアンタナモ収容所が存在する限り、キューバはアメリカが人権について論じることを拒んでいる。アメリカは自らを自由の地と認識している。その結果、起こったことは?経済発展は必要だが、政治の現実、そしてお互いが長く対話してこなかったことを鑑みるに、双方は「戦争よりも論戦のほうがマシ」と思い至った。この言葉は、チャーチル首相が1954年にホワイトハウスのランチで語った言葉として知られている。

どちらも「負け側」と見られるわけにはいかなかった。だから交渉こそが前に進むためにベストな方法となる。相手が間違っていると説得を試みる、という選択肢など忘れてしまうこと。相手を降伏させて自分の意図どおりにさせたり、目先の問題解決も忘れること。長期にわたり実施可能な解決策を交渉すること。

これが双方にとって難しいのは、お互いがお互いの差異に眼をむけなくてはならないからだろう。北アイルランドでは、この事実に眼を向けられない人たちが、今でも時々軋轢をうみだす。それでも大きな目で見れば、北アイルランドは30年前よりもずっと良い場所になった。シリア、アフガニスタン、イラク、イランも、同じような苦難の道を歩まなくてはならないだろう。敵と向かい合い、長期の目標を交渉することによって、希望を見出す。

ところで、宗教を正当化の方便として使うことをやめられるだろうか?カトリック教徒、プロテスタント、シーア派、スンニ派、そしてあらゆる宗教。それぞれの宗派が自らの教えにそって行動すれば良い。だが、自分たちの世界の外側に干渉することはやめて欲しい。外の世界を自分たちと同じ行動に染め上げようとすることは止めるべきだ。このテーマについては、稿を改めることとする。

原文: Negotiating Differences


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