モハメド・アリ

公開されました: 6 13 , 2016
投稿者: アラン・スミス

ワールドクラスのヒーローが立て続けに亡くなっている。

デヴィッド・ボウイ、プリンス、グレン・フライ、ビクトリア・ウッドの訃報に続いて、今度はスポーツ界の伝説モハメド・アリだ。悲劇という他にない。

ノーマン・メイラーの著書「ザ・ファイト」をまだ読んだことがないならお勧めする。アリとジョージ・フォアマンの伝説的な試合についての記録であり、スポーツに関するあらゆる著作の中で最高の一冊だ。プロボクサーのスキルに関する切れ味鋭い研究書であり、格闘技好きではなくても得るところが多い。メイラーは試合のダイナミズムを、チェスの試合やある種のアートのように、活き活きと描写している。

メイラーは、アリが「ロープ・ア・ドープ」が行いやすいよう、レフェリーがロープを緩めていたことも暴露している。結果として普通の男性なら一撃で内蔵をずたずたにされる程の猛攻をアリが受け止め吸収することが可能となった。

試合を通してフォアマンは激昂し、疲労を重ねてゆく。やがてアリは試合の主導権を握り、フォアマンをノックダウンしてしまう。今になって考えてみれば、アリの戦術は、自分が必殺パンチを繰り出す前に、フォアマンを自身で自滅させるというものだった。これは危険な戦略でもある。試合前のアリの「口撃」(交渉者がプレコンディショニングと呼ぶもの)は、今にして思えばこの戦術の一部だったのだろう。

アリは、衆目を集めることにかけては超一流だ。大袈裟な言葉やショーマンシップは、商業的な注目のためのものだろう。事実彼は1つのイベントで100万ボンドを手にした最初のプロボクサーとなったが、これは彼のこの方面のスキルがいかんなく発揮された結果だろう。

「俺はこの戦いに勝つために特別な練習をした。ワニとレスリングをした。クジラと取っ組み合いをした。稲妻に手錠をかけて、雷を刑務所に放り込んでやった。岩を殺して、石に大怪我をさせ、レンガを病院送りにしたのはつい先週だ。俺は悪意の固まりた。俺を見たら医者だって病気になる」ザイールで行われた伝説の試合「キンシャサの奇跡」に先立って、アリはこう語った。

だが、この手のプレコンディショニングは、ボクシングのような激しくない対立不一致の状況でも、しょっちゅう行われている。

例えば、あなたが誰かと取引に関する交渉を始めようとしている。営業を例にとって考えてみよう。

アポイントを確認するために相手に電話をすると、相手はこんなことを言う。「もし値上げの話をするというのなら、いちいち来るな。そちらにとっては時間の無駄だし、こちらもおたくの競合に話をせざるを得なくなる」

相手を訪問すると、受付で30分も待たされ、その間に何の説明もない。相手のオフィスに導き入れられても、単に座るように言われただけで、相手はあなたを見ようともしない。その代わり相手は黙って競合のカタログを読みふけり、あなたが会話を始めようとしても、一切無視される。

この状況で、あなたはどれくらい自信を持てているだろうか?

この状況で、どちらの側でも使える戦術がある。熟達した交渉者なら、相手の行動は戦術なのかどうかを見つけようとする。戦術と見透かせればその効果は弱まるし、場合によってはゼロになる。

相手があなたを苛つかせることに成功すれば、集中力を失い、いずれは負けに入ることだろう。

自らをコントロールすれば、勝つチャンスは増える。


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