Brexitは悪いことばかりではない?

公開されました: 12 12 , 2016
投稿者: ロビン・コープランド

人々が交渉について持つイメージは「クルマを買う時にするもの」(これはおそらく、交渉ではなく値切り)、もしくは「崖から飛び出さないように気をつけながらカーブを高速で曲がり続けること」(これはおそらく、交渉ではなく運転だ)。Scotworkでは、交渉とは、膠着状態をこれ以上続けさせないための働きかけ、という見方をする。言葉を変えれば、外部の何らかの要因によって、契約その他、これまでの関係を再調整する必要に迫られた状況に対処する方法の一つが交渉だ。

このプロセスは、ウィスキーやタバコの好みを他者に同意させようとするものではないし(これはおそらく、交渉ではなく説得だ)、「新たな現実」について相手を説き伏せることでもなく(これはたぶん、自分の見方を強制している)、一方的な負け犬になって、何かくだらないことが起こっても受け入れることでもなく(これは降伏だ)、第三者に交渉を委ねてしまうことでもない(これは調停だ)。

交渉は、このいずれでもない。簡単に言えば、あなたの目的達成に至る道中でおこなう交換だ。能力の高い交渉者は、交渉を始める前に、自分たちの目標を徹底的に洗練させる。目標に優先順位を付け「ウィッシュリスト」を作り込んで柔軟性を組み立てる。仮に主な目標が達成できなくなった場合、最終的なポジションで自分の側の価値をを守ろうとする。

「ソフト」Brexit陣営と「ハード」 Brexit陣営を論戦を見るに、「残留派」(ソフトBrexit)と「離脱派」(ハードBrexit陣営)は、自らの陣営の勝ちを争って激しいロビー戦を繰り広げている(激しい論議の出発点となったBrexitはおこなわれると仮定しよう)。どちらの陣営も、やっていることはそれだけだ。お互いの主張を砂地に突き立てて、Brexitの交渉を実際におこなう英国の交渉者が問題に取り組むことを難しくしている。

喫緊の課題として現在論議されているのは(これ以上無いくらいに)広い意味で、人、モノ、サービスと資本についての、移動の自由だ。これに加えて、あなたが弁護士ならば、自国の法制度を自らが決める権利を復元したいと思うだろうし、あなたが国会議員なら、自国の議会制度が唯一最高の立法府たる地位を回復したいと望むだろう。

「ハード」だろうと「ソフト」だろううと、自由貿易は善なるもの、という点では一致しているように思える。英国は自由貿易を維持したい。例えば、ドイツにとっては、自国が生産する自動車の最大の輸出先は英国であり、ドイツが自由貿易体制の維持を望むことはわかっている。フランスは今はそれほどでもないかもしれないが、マリーヌ・ル・ペンが大統領に選出されれば事情は変わるかもしれない。その他の国にしても似たり寄ったりだ。欧州委員会のユンケル委員長はどう考えているのだろうか?自由貿易の維持には、あまり強い関心をいだいていないように見える(前回お見かけした際には、彼は自動車のセールスマンではなかった)。だからユンケル氏は自由貿易体制が維持されてしまえば大きな譲歩と捉えるだろうし、交渉では自由貿易体制を取引材料として扱うだろう。

というわけで、英国がEU諸国との間で、物やサービス、資本の自由な移動を達成しようとするならば、何かを譲らなければならない。人の移動の自由、だろうか?イギリス独立党の投手ナイジェル・ファラージ、保守党におけるEU離脱の急先鋒たるマイケル・ゴーブやイアン・ダンカン・スミス、ジョン・ウィッティグデール、テレサ・ヴィリエにこの話をしてみるとよい。ここに名前を挙げた5名に限らない。「ハード」Brexit主義者から聞こえてくるのは、砂の上に描いたような国境線は終わりにする、という言葉だ。

この問題が惹き起こす様々な懸念事項をクリアできるように、問題そのものを置き換える方法はないものだろうか。これまでのところ、論議はまるで「国民投票」の様相を帯びている。「グレイ」な領域は存在せず、人々を分断してしまう。

一つだけ確実なことがある。様々なコメンテーターが講釈を垂れ流すほどに、交渉者の自由度は奪われてゆく。そして、どんな交渉者も、自由度が無ければ無いほどに、仕事は難しくなってゆく。国境での人の出入りを管理することが「必達」であるならば、控えめに言っても、英国が望む目標の大部分を諦めざるを得なくなる。仮にそうなれば、ドイツの自動車産業は多額の売上を失い、その対価は重くEUにのしかかることになるだろう。

希望の光、というか、希望を持てるニュースが無いわけでもない。これらの話からメリットを受ける業界が2つある。まずは、行列をさばくためのロープの製造業、もう一つは、インキメーカーだ。ドーバー海峡を行ったり来たりするたびに、膨大な数のパスポートにスタンプが押されなくてはならない。また、そのための行列も、恐ろしいほどに長いものになるだろう。

原文:  Brexit - It's Not All Bad News


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