自慢とハッタリ

公開されました: 3 14 , 2016
投稿者: スティーブン・ホワイト

BBCの記者は最近、スコットランド沖のアウター・ヘブリ​​ディーズ諸島に位置するルイス島を訪れ、共和党の大統領候補に選出される可能性が日増しに高まってるドナルド・トランプ氏について島民の反応を伝えた。トランプ氏の母親はルイス島の出身であり、言うなれば彼も島民の一人ということになる。

ジャーナリストによると、島民はトランプ氏に対して、熱狂と言うには程遠い態度をとっている。島民がいちばん苛々しているのは、彼が控えめさを欠いている点だという。自慢とハッタリではトランプ氏の右に出るものは居ない。状況を派手に言い立て、自信を実像よりもずっと大きく、偉大な成功者と見せている。賢く、金持ちで、才能に恵まれ、ビジネスできらびやかな成功を収めており、タフでスマート、こんな自己像を飽きるほどに繰り返している。一言で言えばトランプ氏は常に勝者であり、これからもそうであり続けると見せかけている。勝者ではない状況においてさえも。予備選挙に向けて数多の自慢とハッタリに満ちたスピーチを行った後、2月初旬にはアイオワ州の緒戦で敗北を期した。ところがトランプ氏はブレること無く、次の予備選では勝利をおさめると宣言した。

ルイス島の堅実この上ない島民は、トランプ氏のスタイルには強い嫌悪感を抱いている。そして多くのアメリカ人も同じだ。トランプ氏のスタイルや、虚像をつくりあげることが一番の強みという人間が今年の終わりに大統領執務室に座る可能性を見るにつけ、ぞっとしている。

ドナルド・トランプやその他強大なエゴを持つ男性が、トランプ氏のような行動を続けることは理にかなわないし、謎でさえある。スコットワークの講師陣は、長年にわたり、交渉の席で同じような行動を観察してきた。強硬な取引条件を声高に主張し、自分が強いポジションに居るという根拠の無い確信、大声での主張、威嚇、劇的な決裂、嘘を含むハッタリなど。いずれも自身を優位にして相手を威嚇するアプローチだ。私が実際に目にした例では、ある交渉チームは取引先からの納品が破損しているという主張を展開した。双方に与えられる事前情報では納品物は完璧だったと記されているにも関わらずだ。取引先のリーダーは巨漢であり、常に相手を威嚇したがる人物だった。彼のオープニングステートメントは「お前ら、弁償の費用を今持っているといいんだがな」というものであり、この言葉がミーティングのトーンを定めた。事実を明らかにすれば彼が落ち着くと考えたが、彼は行動をあらためなかった。彼は要求を先鋭化させ、また不愉快な行動を強めていった。

「空荷の船がいちばん騒々しい」そして「真にパワーを持つ人は、拳をベルベットの手袋に包む」という言葉は誰もが知っている摂理だ。あるいはまた、クジャクの尾についての理論を思い出す。クジャクの尾は、鳥類の自慢とハッタリの好例だ、。

クジャクの尾は美しいけれど、実のところハンディだ。尾は重いし扱いが面倒だ。尾のせいでクジャクの動きは遅く、捕食されるリスクも高まる。適者生存の世界では、クジャクの尾は本来なら消えるべき存在だ。ところが尾のハンディのためにクジャクは進化の過程で生き残った。理屈で考えれば、クジャクの中でも最も強く健康な個体のみが、巨大な尾をつけて動きまわる事ができる。クジャクの雌の個体は雄の尾が美しいという理由でパートナーを選ぶのではない。そうではなく、巨大な尾が示すもの、すなわち健康であり強いこと、そして強い遺伝子を持っていることを見て取るから番いになるのだ。

トランプ氏の人気も同じロジックによるものだろう。大袈裟な主張やハッタリは選挙民には何の魅力もなく、すぐにでも止めるべきだ。ところが彼は煽り続けている。自慢やハッタリは支持者を失う方向に働くはずだが、支持者はむしろ自慢やハッタリを支持の理由に挙げている。これはつまり、彼が決してやめようとしない大口の裏側には本当のパワーがあるということだ。以上、証明終わり。彼は真の意味でのパワーを持っているに違いない。

興味深いロジックの運びだ。生憎とこのロジックは私には作用しないが。私は、WYSIWYG(見たものがそのまま)と考えている。

 

原文: Bragging

 


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