Apple TV

公開されました: 8 22 , 2016
投稿者: サム・マクベス

最近ウォールストリート・ジャーナル誌に次のような記事が掲載された。「アップルのTV事業、強引な交渉戦術が裏目に ー Apple TVは次の『ビッグ・シング』の一つだが、同社はケーブルチャンネルやネットワークを相手に強引な交渉スタイルを貫いており、結果として溝をつくりだしている。『時間は我々の見方だ』とアップルは主張している」

2009年以降、アップルは様々なメディアパートナーと論議を続けているが、決着は未だに見えてこない。これまで知られている同社の要求には、視聴者数に基づく長期固定の支払い、プレミアムチャンネルへのアクセス、ヒット番組の全シーズンの全番組をオンデマンドで配信、巨大なクラウドベースの「ビデオレコーダー」機能の権利、セットトップボックからのApple IDでログインすること、などがある。キッチンの流し台をどのようにデザインスべきかについては、アップルはまだ要求していないが、これも時間の問題だろう。

アップルのインターネットソフトウェアおよびサービス担当シニアVP であるエディ・キュー氏は、タイム・ワーナーのCEOとのミーティングに10分遅刻し、ジーンズに、靴下なしのテニスジューズで、アロハシャツを着ていたという。タイム・ワーナー側で臨席したエグゼクティブたちはスーツを着ていた。とあるCATVのエグゼクティブは、アップルの交渉スタイルを「我々はアップルだ」、あるいは、映画「俺たちニュースキャスター」の伝説的なキャスター、ロン・バーガンディになぞらえて「俺たちはものすごくビッグなんだ」方式だと述べている。

キュー氏の側は、テレビ業界は物事をわざと複雑にしている、と述べており、メディアのエグゼクティブには「特に急いでいない」と告げているという。まぁ、彼の言い分も正しいのかもしれない。

これまでアップルが合意に達していない理由は何だろう?たしかに、同社の中でテレビ事業は、大海原の中の一滴のようなものだ。テレビ事業の売上は年間僅かに10億ドル、アップルの昨年の年間総売上は2337億ドルだ。この状況では、今の売上を失ったとしても、アップルにとってはそれほどの痛手もないだろう(テレビ事業が、同社が真に必要としている次なる成長に向けての重要な一手としても、だ)。

私は、合意が長引いている理由は、先例のためではないかと考えている。メディアは「もしアップルと合意すれば、既存のCATVネットワークにもアップルは同じことを要求してくる、結果、番組への投資回収に悪影響を及ぼす」という懸念を持っている。

iPhoneや音楽業界の例をひくまでもなく、型破りで革新的なスタンスをもって、動かない業界や既存の常識にぶつかってゆく手法は、アップルに大きな成果をもたらした。だが、これを可能とするためには、自分たちのポジションをしっかりと見て、双方のパワーを正確に見極めなくてはならない。さらには、アップルは、可能なこととそうでないこと、その理由を、十分に知っておかなくてはならない。その過程で自らの目標を再考してみることも必要だろう。

仮に、交渉相手が、アップルとの今日の同意が将来不利な契約に結びつく可能性があると懸念するなら、そして、将来の悪影響は今日得られる売上をもって補えるものでないと考えるなら、アップルがいくら時間を掛けたところで、合意に達することは無いだろう。

さらには、強気の交渉が、ある時点で一線を踏み越えて、敵対的で尊大な交渉スタンスに姿を変えてしまう、というリスクもある。そうなれば、相手が真の問題についてオープンに情報開示をして論議できることなどありそうにないし、法律や規制などに関する重大な懸念点、先に進む上での実務上の不安などの情報も明かされないだろう。情報開示なしには、アップルは交渉相手が直面している課題を解くことなど出来ない。

キュー氏が主張するように物事は時とともに変わっていゆく。だが、人々は容易に物事を忘れない。特に、行動やスタイル(それにドレスコードだ)については。アップル社がテレビ事業における交渉を進めたいと望むなら、これらのことを考えてみるべきだ。 

原文: A Grapple for Apple


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