失敗する交渉への5つの道

公開されました: 8 01 , 2016
投稿者: ジョン・マクミラン

過去40年間にわたり、私は30を上回る国で、延べ5000時間以上にわたって交渉を観察し続けてきた。この経験を通して、私は交渉が必ず失敗に至る致命的な間違いが分かるようになった。本ブログの読者のために、その中でトップ5のポイントを選んで示すことにする。43年間にわたるEUとの関係を精算するために今後英国がおこなう交渉は、これらのポイントにどれくらい引っかかるだろうか。
 

ポイント1: 強力なリーダーと一枚岩のチームの必要性

英国の新しい首相はテレサ・メイだ。メイ首相は名だたる「離脱派」をEU離脱交渉のリーダーに任命した。ボリス・ジョンソン氏は外務大臣を、また、デビッド・デイビス氏は「Brexit部門」のトップを勤める。デイビス氏の正式な肩書は「欧州連合離脱のための国務長官」だ。ボリス・ジョンソン氏が本当のところどれくらい「離脱派」なのかについては論議がある。ジョンソン氏は自身の政治的な損得のために離脱派を演じていると主張する人も多い。与党の国会議員のうち185名は残留派であり、128名が離脱派だ。一枚岩とは到底言えない状態だろう。

純粋に政治的な観点から、メイ首相は煙幕を張ったと言う人も居る。仮に交渉がうまくゆかない場合、メイ首相は、EU離脱についての彼女自身の見方の裏側に逃げこむことが出来るのだから(以下のポイント2を参照)。
 

ポイント2: 自陣営のポジションに対する信念の有無

主だった交渉者が離脱に投票しているのだから、このポイントに問題はないように見える。ただし、ポイント1について、もう一度考えてみていただきたい!
 

ポイント3: 経験豊富なサポートチームの存在

英国の国家公務員は海外との貿易交渉に精通していると言えるだろうか?断固として「No」だ。担当する20かそこらの交渉を手伝ってもらうために、常に外部コンサルタントを探しまわっている。必要な交渉は対EUに限ってもおよそ600。EU以外の各国との通商交渉については、考えたくもないといったところだろう。
 

ポイント4: 一連の目標が明確に定義されていること

離脱派たちは、よもや自分たちが勝つとは思っていなかったようだ。来るべき交渉にははっきりとした目標は無いし、戦術も無い。必ず達成すべきこと、必ず避けるべきことなど、明確なガイドラインが無いのであれば、どんな交渉も霧の中を歩きまわっているようなものだ。
 

ポイント5: 達成可能な成果についての現実的な期待が形作られている

50を約束し、結果は10しか達成できなかったが、それを「勝ち」として売り込むような交渉者は、支持者から非難され、交渉の合意事項に反対票を投じられかねないリスクを負う。EUへの支払いから、週に3億5000万ポンドが新たな財源として国民保険サービスに振り替えられ、移民は止まり、EU基本権憲章のくびきから逃れて英国の経済は繁栄する。有権者にしてみれば、これらが(これらに限らないが)離脱主義者の約束との理解だった。

残念ながら、このいずれも実現しないだろう。3億5000万ポンドの数字はうそっぱちだった。単一市場へのアクセスは人の移動の自由と深く結びついている。英国はおそらく、EUに対して、これまでよりも多額の拠出を行うことになるだろう。そしてもちろん、これらについての法律を作る際に、英国は何も口出しできない。ああ、それからもう一つ、英国は、EU基本権憲章に準拠する条約上の義務を負っており、これはそのまま続くだろう。

率直に申し上げると、2台の列車がスローモーションで正面衝突するのを眺めているように感じる。

 

原文: 5 Pointers To a Negotiating Disaster


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