Noのパワー

公開されました: 5 14 , 2015
投稿者: スティーブン・ホワイト

アルゼンチン映画「ワイルド・テイルズ」は、絶望的な状況にある人々についての6つの物語のコンピレーションであり、娯楽色の強いストーリーテリングが好きな方にはお勧めだ。この6つの中のとある物語は、交渉者にとって特に興味深い。

プロットは裕福な父親を軸にして進んでゆく。放蕩息子が夜中にBMWを乗り回し、飲酒運転の挙句に妊婦のひき逃げ事故を起こしてしまう。妊婦とお腹の子供は帰らぬ人となった。息子は事故を両親に告白する。父親はファミリーお抱えの弁護士とともに、とある計画を作り上げた。そのファミリーには長く仕えていた庭師が居る。庭師が運転していたことにして罪をかぶれば(刑期は懲役18ヶ月に及ぶ)、見返りに50万ドルを渡すという提案がなされた。庭師にとっては想像すらできない金額だ。

父は息子が刑務所送りにならないよう文字通り必死だった。周囲はこの弱みにつけこんで値を吊り上げ始める。警察官は庭師の証言に矛盾点を見つけ百万ドルの賄賂を要求する。ファミリーの弁護士は更なる50万ドルを手数料として要求した。当の庭師は現金報酬に加えて海辺のアパートを、警察官は経費と称して更なる支払いを要求してきた。庭師のアパートや警官の経費は明らかにウィッシュリスト項目だろう。

だが事態は一変する。最後の要求で苛立ちが極限に達した父親はこれまでのすべての取引に'No'を宣言する。これまで合意してきたオファーを引っ込めて息子を刑務所に行かせると言い放った。妻は嘆願し、弁護士は父親を脅したが、無駄だった。

一言で父親はパワーバランスを切り返したのだ。弁護士はウィッシュリスト項目を撤回すると言ってきた。父親はとりあわない。この件で出せる金額は100万ドルが上限であり、関与者が同意のうえでこの金額を分け合え、と提案する。弁護士は金額を上げるよう嘆願するが父親は拒否し、父親のが課した条件で合意となる。この話には少なくとも2つの教訓がある。第一に交渉者は自らの行動によってパワーバランスを切り返す方法を知っておくべき、という点。パワーバランスは天から降ってきて固定されているものではない。そして第二に、貪る事なかれ、という点だ!

ネタばらしをされたとお怒りになるかもしれないが、この物語の最後には更なる捻りがある。また、これ以外の5つのストーリーも非常に面白かった。

ちなみに、この物語は2008年のトルコ映画Three Monkeysと同じストーリーだ。こちらも観る価値がある。

どちらもお勧めする。

原文: The Power of No

 


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