合意なき合意

公開されました: 4 09 , 2015
投稿者: スティーブン・ホワイト

イランの核開発に関する最終合意について、暫定的に定めた期限が過ぎた先週木曜日、合意内容が控えめに発表された。テヘランの路上は歓喜の声に溢れ、エルサレムとリヤドは不満な空気で満たされた。ワシントンは結果を高らかに謳いあげるコメントを発表し、ロンドン、パリ、ベルリンは何の反応も無かった。

政府のスポークスパーソンや専門家が様々な条件をもって介入してきたので、もはやこれ以外の形での決着はあり得なかっただろう。テーブルについた双方から凄まじいエゴがぶつかりあった。交渉が物別れにおわったり暗礁に乗り上げていたら、関わった政治家たちの無能さも明らかになっていたことだろう。

合意内容の細部を詳しく見てゆけば、不明確さや曖昧さだらけと分かる。無数のタイムライン、合意条件を見守るオブサーバーの権利、P5+1がイランの譲歩の見返りにどのように制裁解除をしてゆくか、そのスピードや方法についての詳細が書かれている。

上手くゆかなかった原因は論争の当事者だけではなく、参加者全員に相応の原因があったようだ。例えばロシアの交渉担チームは、一貫して「スナップバック条件」(西側諸国が要求していたものだ)を一貫して拒否してきた。「スナップバック」とは、一方の当事者が仮に合意に違反した場合、他方の譲歩を即座に停止する、というものだ(今回の交渉では、イランが合意に違反した場合、西側諸国は即座に経済制裁を再開する)。イラン側に目を向けると、真の権力者であるアヤトラ・ハメネイは、今回の合意について、何ら言葉を発していない。

潜在的には全世界の平和にかかわる合意であるにもかかわらず、英国のメディアは、金曜日に合意の詳細を知らせることはしなかった。目先に迫った総選挙と国のリーダーについての論争が紙面を占めていた。あとは、ケニアで150人のキリスト教の学生が殺されたこと、アラブ連合によるイエメンへの軍事介入についての記事のみだった。イエメンの一部の領土は、イランが後ろ盾となっているフーシ派に占領されている。

この交渉に関わった関係者は面目を保ったと感じているかもしれない。だが、彼ら以外の全世界の住人にとっては、合意(と主張しているもの)は、合意なき合意だ。合意形成に至る枠組みや確認書ですらない。取り組むべきことはまだ山のように残っている。混沌の続く中東について、まだ合意がなされておらず、早急に取り組むべき細部が数多あるに違いない。

マスコミの常套文句を借りよう。次号をお見逃しなく。

原文: The Deal That Is No Deal


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