ストリクトリー・カム・ネゴシエーティング

公開されました: 12 07 , 2015
投稿者: デビット・バニスター

英国は秋が終わり、冬の入口に差し掛かっている。この季節、土曜日夜のテレビ番組が国民的な人気を集めている。「ストリクトリー・カム・ダンシング」という番組で、熱狂的なファンは「ストリクトリー」と呼んでいる。有名人がプロダンサーとコンビを組んで社交ダンスを競い合う。視聴者はその週にどのコンビを落選させるかを投票する。番組のシーズンごとに1000万人もの熱狂的なファンが番組を追いかけている。私はいつも見ているわけではないが妻は大ファンだ。そういうわけで、番組の放送中は、私は何か他のことをしていることが多い。ところが今年はちょっとばかり違った。妻のジェーンが「ケティが踊るわよ!」と教えてくれたからだ。今年出場しているコンビのケティ・ダーハムのことであり、私は彼女のことを応援している(彼女のファンは多い、パートナーのプロダンサーは、これまでコンテストでは結果は芳しくなかったが、ユーモアがありしぐさも面白い)。

ダーハム女史がはじめてテレビに出たのは27才の時だった。英国のニュースキャスターとしては最も年少だった(彼女は現在45才)。以来テレビとラジオに活躍の場を広げ、現在ではテレビとラジオの両方でクラシック音楽番組のプレゼンターをつとめている。27才のときダーハム女史はテレビ界の長老有力者たちから口頭で攻撃されたことがあった。彼らは、若い(そして魅力的な)女性がニュース放送の司会を勤めることが気に入らなかったようだ。ニュースをテレプロンプターから読むだけであれば大した知的能力は要らない、と容赦なく言うものさえ居た。過大評価されている才能に支払われている給与は正当化することが出来ない、とも。

なぜこんな話をするのかって?ダーハム女史にいくら給与が支払われたか、私が知るかぎりで公表されたことは一度もない。世間の皮肉いっぱいの不満屋(大抵は男性だ)の鬱積した不平の受け皿となるべく常に努力を怠らない新聞によると、90年代の半ばに彼女の給与は12万5000ポンドから25万ポンドだった。彼女がいくらの給与を得ていたのはどうでもよい。彼女がその金額を手にするに至った経緯に注目したい。ケティ・ダーハムの最近のインタビュー記事で「高額の」給与について触れいている部分がある。インタビュアーの質問に答えて、マイナーな番組から全国放送されるニュース番組に抜擢された際に、彼女は報酬パッケージについて何を要求すべきか、皆目見当がつかなかったという。このような職の給与水準は公表されていないし、主張の根拠になりそうな先例や職務評価も存在しなかった。ではそのような場合、この重要な交渉に臨んで、自分の開始ポジションをどのように決めたのだろうか?シンプルに考えました、とダーハム女史は答えている。雇用主は自分にどれくらいの価値を見出しているのかを考えれば良い。雇用主はあなたにどれ程の成果を挙げて欲しいのか、どんな卓越した仕事をして欲しいのか、視聴者のレーティングを上げるためにあなたはどれくらい役に立つのか。これらを考え、給与をそれにもとづいて提案した。結果として彼女は受け入れ可能な条件で契約を済ませ、2つの全国ネットワークで何年もの間ニュースを読んだ。

この話の教訓は交渉者にとってははっきりしたものだ。提案をする時には自分の望むものを言う。その際には自分の要求を正当化出来る論点や事実によって提案を補強し、自分の望むものを求める。ダーハム女史の交渉には数多くの要素が絡んでいたことは間違いない。契約期間から肖像権に至るあらゆるこることが交渉対象になったはずだ。それらは彼女のウィッシュリストになったことだろう。だが、決め手は「自分の価値は何であり、相手はどれくらい自分を必要としているのだろうか?」という問いに帰結する。この問への答えはポジションを決め、そしてパワーを生み出す。ケティは、交渉者として素晴らしい才能を持っているようだ。彼女の踊るタンゴと同じように。土曜日の夜に注目!

 

原文: Strictly Come Negotiating


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