扉に気をつけて

公開されました: 8 13 , 2015
投稿者: スティーブン・ホワイト

 先週水曜日の夜、ロンドンの2つの団体が問題に直面していた。午後5時、著名な慈善団体であるキッズカンパニーが運営する支援センターの扉が永久に閉じられた。慈善団体は数千人の子供たちに、直接的な、あるいは教育を通しての支援を提供していたが、助けが必要な子供たちは行き場を失った。しばらく前からこの慈善団体の財政には疑いが持たれていた。管理に問題があり、特に財務部門が運営をしっかりと管理していないという嫌疑を持たれていた。キッズカンパニーの最大のスポンサーは政府だが、メディアが不透明な経理処理を取り上げると、政府も他の篤志家も、キッズカンパニーへの拠出をためらうようになった。キッズカンパニーの施設内で子供たちに性的虐待がおこなわれた、という疑惑が報じられ、これがとどめを刺した。個人献金は完全に消え、余剰金の蓄えもなかったので、慈善団体は運営を停止するより他になくなった。現在と似たような形で再開される可能性はほとんど無いだろう。

そのわずか1時間後、ロンドン地下鉄駅の、おなじみの引き出し式の鉄扉が閉じられた。地下鉄職員の労働組合による24時間のストライキのためだ。何百万人もの通勤車や観光客が不便を被った。バスは超満員となり道路はグリッドロックに陥った。Uberは「ダイナミック・プライス」を適用し、これはつまりその時期のタクシー料金はこれ以上ないくらいに高いという意味だ。オフィスワーカーは為す術もなく何マイルも歩いて帰宅した。ロンドン交通局(TfL)と労働組合との間の論点は、とある変更について。現在ロンドンのチューブ(地下鉄)は深夜を過ぎた頃に終わり、翌朝5時頃に再開する。TfLは9月中旬からいくつかの路線で週末の終夜運転を始めようとしていた。この計画をロンドン市民は支持している。公共交通は便利になるし、ロンドンの事業所はこの変更から利益を受けることになる。ところが、組合は、この変更が実施に移されると、業務のローテーションは「地獄のようになる」と主張した。TFLはこれを否定した。8月末には更なるストライキが予定されている。

この2つの災難の共通点は何だろうか?一言で言えば、戦術だ。もう少しだけ丁寧に言えば、戦術の不在、だ。

キッズカンパニーは彼らを頼ってくる子供たち全員のニーズに応えようとして余剰金を蓄えることが出来なかった。キッズカンパニーは常に自転車操業であり、お金が入ってくるやいなや支出されてしまった。常に人目を惹き続けてきたカリスマリーダーのカミラ・バトマンゲリジは、これまでずっと、政府や地方自治体を非難し続けてきた。。キッズカンパニーに助けを求めてくる子供たちは多く、多様な支援ニーズにチャリティは押しつぶされそうだ、と。しかしながら、慈善事業はビジネスとそれほど変わらない面がある。その組織ができる事は、その組織が使うことのできる資本によって制限される、という点だ。資本の限界を超えれば組織は自壊してしまう。キッズカンパニーの志にはもちろん共感を覚える。しかしながら、慈善団体のリーダーと運営者たちは、事業を持続可能なものとする計画を立てようとせず、クライアントの直近のニーズに応えてゆくのみであり、結果として慈善団体は頓挫し、全員を失望させることになった。

ロンドン地下鉄のストライキもこれと同じく、頭の無いニワトリのようだ。このストに参加した3つの労働組合の1つRMTの代表ミック・キャッシュは先週次のように述べた。「ロンドン地下鉄が提示してきたものは、組合員が直面している問題には何一つ応えていない。組合員は交通局の言われるままに仕事に呼び出され、市長の無様な計画を実施するために必要な必要なスタッフを揃えることもできない。この争議は賃金についてのものではない。プライベートの時間に家族や友達とゆっくりと過ごすことができるかどうか、についての争議なのだ」労働組合は、サービスを時代に合ったものに変えてゆくあらゆる試みの機会を捕まえて、譲歩を引き出す機会として利用しようとしている。これが彼らの「戦術」だが、こんなものは「戦術」ではない。今までも何度も繰り返されてきた、あらゆる機会を利用して都合の良い主張を繰り広げるオポチュニズムにほかならない。この労組リーダーの声明を読んで、スコットランド・ガースカーデンのグッドイヤータイヤ工場で1979年に行われたストライキを思い出した。会社側が夜勤を導入しようとし際に労働組合は同じような声明を発した。その時は組合の主張が通った。夜勤は結局導入されなかった。その代わり、24時間操業が無いなら、その年の後半に、工場は完全に閉鎖されると発表された。労働組合は目先の目標は達成したが、長期の全体像には目を向けなかった。もちろんロンドンチューブが永久に入り口の鉄扉を開けないということは無いだろう。しかしながら、労働組入が時代の変化に戦術をもって応えようとしないという事実は、彼らの死を告げる鐘の音に聞こえる。

 

原文: Mind the Doors Please


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