時間変数

公開されました: 10 15 , 2015
投稿者: トム・フェインソン

英国最大のスーパーマーケットチェーンであるテスコは、この数ヶ月にわたり様々な困難にぶちあたっている。このところテスコは、食品雑貨倫理審判機構が扱うサプライヤーからの苦情申し立て対象のトップに居座っている。最近の調査によると、サプライヤーから最低評価を受けているのは食品スーパーのアイスランドであり、テスコはアイスランドに次いで下から二番目だ。なんともお寒い結果と言わざるをえない。

この分野の仕事に携わる人々にとっては別の驚くような話ではないだろう。個人的な経験では、テスコが英国における大手流通4社の中で特に酷いというわけでもない。どの会社も、あたかも万能のパワーを手にしていて、サプライヤーとの関係をぶち壊すもヨリを戻すも意のままに、とでも言わんばかりだ。だが、潮目は変わったのだろうか?

先日のIGDカンファレンスにおいて、テスコは「透明性と公平性の新時代を構築するために」サプライヤーへの支払期間を半分にする計画を打ち出した。透明性と公平性、という言葉は、テスコとそのサプライヤーの関係の中で最も縁遠い概念だ。

テスコの小規模サプライヤー(取引金額が年間10万ポンド未満)であれば14日後の支払いとし、これはテスコによると業界慣行である28日の半分だという。

取引額が年間10万ポンドから1000万ポンドのサプライヤーは、業界慣行(カテゴリーによって異なる)よりも5日早く支払う。

 

製品カテゴリー

支払いサイトの業界慣行

1000万ポンド以下のサプライヤー向けテスコの改定支払いサイト

10万ポンド以下のサプライヤー向けテスコの改定支払いサイト

果物、野菜、肉、鮮魚

28

23

14

冷凍食品、ペット用品

35

30

14

日用品

40

35

14

ベーカリー、日用雑貨、家庭用品、美容品

45

40

14

ワイン、ビール、スピリッツ

60

55

14

衣類、その他商品

60

55

14

衣類、その他商品(海外原産)

90

開示せず

開示せず

非小売商品(購買部門向け)

45

開示せず

14

 テスコの新しい計画は「時間」変数の巧妙な使い方の一例だ。まずは目に見える違いを際立たせる。特に小規模なサプライヤーにとってはキャッシュフローは全てだ。それから、業界慣行より優遇、という比較優位を見せる。最後に、生鮮食料品のほうがそれ以外のカテゴリーより支払いが早い、というカテゴリー間の違いを導入している。

この慈愛に満ちた利他的な行動はどこから来たのだろうか。支払いサイト変更のために、テスコは2億3000万ポンド以上の原資が必要になると言われている。今年2月、テスコはサプライヤーに対して、コモディティ市場の縮小を理由に納入価格の値下げを要求するメールを送りつけている。テスコお馴染みの、要求に応じなければ商品の扱いを中止する、という脅迫スタイルだ。当然のことながら業界は反発した。

支払いサイトの短縮は業界からの反発に応えたためだろうか?眼からウロコが落ちた?天の閃き?協調的な交渉のほうが敵対的な交渉よりうまくゆくと、テスコはようやく気がついたのか?あるいは、広報戦術?本当のところは今のところ誰も分からない。皮肉屋はこんなものはイカサマだと責めるだろうが、楽観は広がってゆくだろう。

表向き、サプライヤーはキャッシュフローが楽になるし、テスコは悪評を多少なりとも挽回できる。だがこの話は本当にこれだけだろうか?私の考えを一つだけ述べておこう。テスコのCEOであるデイブ・ルイスはこう言っている。「テスコはサプライヤーとの協業を通してお客様に向けてのイノベーションを起こしたいと考えている、そのような変革をテスコ主導で実現させてゆくことは難しくない」おそらく「イノベーション」が釣り上げたい大物であり、取引条件は大物を引き寄せる撒き餌だろう。撒き餌がうまく意味をもつのなら、これは「得るために与えよ」の教科書的な例となる。

原文: It's About Time


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