グリーン・ウェーブ

公開されました: 8 20 , 2015
投稿者: アラン・スミス

何年か前のこと、とあるディナーパーティーにて、私はある人と言葉を交わした。会話のきっかけの常として、彼は私の仕事について訪ねた。

私は、交渉を人に教え、交渉のコンサルティングをしている、と説明した。彼は大変に興味を覚えたようだったが、同時に懐疑的な眼を向けてきた。

彼曰く、自分は絶対に交渉には応じない、という。自分は常に最終通告を相手に突きつけて道を切り拓いてきた、交渉に応じる事自体が弱さの表れなのだ、サプライヤーに接する際には、単に相手が成すべきことを告げ、あとは相手がそれを呑むか、取引を終わりにして帰ってもらうかだ、という。

その結果はどうでしたか?と尋ねた。

うまくいっている、と彼は応えた。いつでも最も有利な取引条件を手にしている、と。

今朝、ロンドン中心部の交通信号の管制をしている人の話を聞いた。なんという仕事だろう!

彼の奥さんが初めての子供を授かった時のこと、妊娠の後期だが奥さんは働きに出ていた。予定よりも早くに陣痛が始まった。初めての出産でもあり、奥さんは不安を感じていた。彼は救急車を呼ぶことにした。

999のオペレータは、現在多数の出動要求が来ており、普段の時より少なくとも30分以上時間がかるだろう、もし可能なら奥さんを自分で病院に連れてゆくように、とアドバイスしてきた。

彼はこのアドバイスを聞き入れた。出かける前に仕事仲間に電話を掛けて病院までのルートを告げ「グリーン・ウェーブ」を頼んだ。所定のルートを走り続けると、全ての交通信号が青になる。彼はハンズフリー通話で自分の現在位置を同僚に連絡し続けた。

こんなことが本当にあるとは知らなかった。考えてみれば、外国政府高官や王族、高いポジションの政治家が目的地に向かうときに、これは実施されるはずだ。赤信号で停車した車で女王陛下が衆目に晒されるのは、よろしくないだろう。

交渉であなたが常に「グリーン・ウェーブ」を走ることが出来、最短時間で自分の目的地に辿り着けるのなら、それは素晴らしいことだろう。

しなしながら、世の常として、障害が立ちはだかり、新しいルートを探す必要に迫られる。その際に、相手からの抵抗やデッドロックに向き合う必要など無かったと言うのであれば、それは驚くべき無知な見方と言わざるをえない。

さらに、一度も相手から抵抗を受けていない、というのなら、多分あなたは相手のギリギリの線には一度も手をかけていないのだろう。より良い取引条件をテーブルの上に残したまま会議室を出てきてしまったのだろう。

このような質問をディナーパーティーの彼に聞いてみようとした矢先、彼の奥さんが部屋の反対側から大声で彼を呼んでいるのが聞こえた。家まで運転するのはあなただから、これ以上飲まないで。その晩、彼の奥さんは自分がワインを飲むと決めているようだった。

どんな時でも常に自分が望む100%を手にしている、などというこは、ありえないように思えるのだが。

 

原文: Green Lights


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