交渉と説得は全く異なる

公開されました: 8 06 , 2015
投稿者: マイク・フリードマン

最近とある会社から交渉トレーニングについての問い合わせを受けた。この会社は金融機関から債権を買い取り、債務者の説得にあたる。債務を入札で買い、債務者には法の定めや、法の定めを無視して未払いを続けるといかに不快な結末が待っているかを説明する。

この会社がスコットワークに声をかけてきたのは、債務者との交渉力を改善するためだった。交渉トレーニングを提供しているいくつもの会社に声をかけ、数社から見積りも取っていた。

私は、失礼にならないように気をつけながら、この会社はトレーニング費用を無駄遣いすることになるとお伝えした。

交渉をおこなうためには関与する人たちの間に何らかの関係性が成立しなくてはならない。当事者の相互理解に基いて、交渉中には交換のプロセスが発生する。

辞書には「説得」という単語が動詞として載っている。だが「説得」は、本当のところ動詞ではなく結果に過ぎない。説得は、情報を共有した結果として目的が達成された状態だ。「説得力に富む」ために、個人の見解とは異なる客観情報を提示しなくてはならない。「ファクト・ベース」と呼ぶものだ。現実には「私の考えでは...」や「...に違いない」が発せられるたびに、論議は「説得力」を失ってゆく。スコットワークのトレーニングにおいて、いちばん最初の模擬演習では、ほとんどの参加者は説得に訴える。参加者の日々の仕事の中で、自分たちの事業の取引条件を客観的に説明できるデータを提示することは出来るだろうか?この問いは、結果として、これまでの自社のビジネスのやり方を変えるきっかけになることが多い。

 我々は日々の仕事のなかで、社内、社外を問わず、対立不一致を孕んだ論議に遭遇する。相手はビジネスで既に関係を築いている組織かもしれないし、個人かもしれない。意見が少々違う、ということは、むしろ健全だろう。こう考えてみよう。意見の相違がある、という状態は、無関心よりもずっと与し易い、と。

相手に説得を試みて失敗したとしよう(ほとんどの場合そうなるはずだ)。もし相手が望んでいるものが分かったら、自分に有利な条件で、それを相手に与えることが出来ないか、考える。自分にとっては大事だけれど、相手にとってはそれほどではなく譲歩してきそうなものを見つける。スコットワークは、このような交換可能項目の一覧をウィッシュリストと呼ぶ。もちろん、ウィッシュリストが事前に準備できていれば、論議はずっと有意義になり、交換のプロセスも自然に発生する。

関係の中で対立不一致が発生した場合、誰でも何時でも交渉することができる。にも関わらず、人は本質的に交渉よりも説得を好む。説得ではコストが発生しない、ということが理由だろう。そういうわけで、現実社会の中で、説得はアンバランスなほどに多用される。

説得がうまくゆくかどうかは、自分のサイドがパワーをどれくらい握っているかにかかっている。相手が高い対価を払ってでも手に入れたいものをこちらが持っていたり、あるいは、最初に紹介した会社の例のように、相手が絶対に避けたいと思う脅威をプレイできる場合だ。パワーがすべてあなたの側にあるのであれば、あなたは別段に交渉する必要はない。相手を説得することが出来るだろう。

スコットワークは、対立不一致に直面した人々に交換を通して前に進む方法を教えている。コースの1日目が終わる頃には、説得は交渉と比べると貧弱なアプローチだと思えるようになる。

 

原文:  Don’t Confuse Negotiating With Persuasion


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