政治家と猫の骸

公開されました: 4 30 , 2015
投稿者: アラン・スミス

英国の政治家は新しいテクニックを身につけたようだ。彼らの背後にいるメディア対策専門家が5月の総選挙に向けての長い戦いの中で編み出し普及させたのだろう。

このテクニックは「猫の死骸をテーブルに投げつける」と呼ばれている。 

細かい定義に煩くこだわる必要もあるまい。本物の猫の死骸を持ち出す必要は無いし、文字通り論議の最中にテーブルに投げ出すことでもない。このテクニックにおける「猫の死骸」はメタファーだ。とんでもなくショッキングなコメントを口にすることによって論議の焦点をずらし、その事柄以外に何も論議できなくなる状態を作り出す。このテクニックはメディアの注目を得たり逸したりする際には特にパワフルだ。

「猫の骸をテーブルに投げる」テクニックの際立った例を2つ挙げよう。まずはイギリス独立労働党党首ナイジェル・ファラージの、HIV患者の英国への入国を禁止する、という言葉。いわゆる医療ツーリズムについてのコメントだ。もう一つは「エド・ミリバンドは労働党の党首選挙で兄を裏切ったのだから、将来有権者を再び裏切ることに何ら心の咎めを抱かないだろう」という保守党の国防省長官マイケル・ファーレンの言葉だ。こちらはデイリー・ミラー誌のトップで報じられた。

「猫の死骸を投げつける』テクニックに覚えのある交渉者は多いだろう。

クライアントとのミーティングでも相手が猫の死骸をテーブルに投げつけてくる姿を容易に想像することが出来る。「冗談はやめてくれ、20%の値下げが必要なんだ。値下げするか、ここで終わりにするか、どちらかだ」「他のサプライヤーが見つかりました。支払いサイトは120日で良いそうです。貴社も同じ条件にしていただくか、さもなければ、あちらに切り替えます」

猫の死骸にどのように対処すべきだろうか?

無視することは難しいかもしれないが、やってみる価値はある。譲歩も選択肢だが、結果としてそれが先例になってしまわないだろうか。将来の関係にどのような影響をおよぼすだろうか?はっきりと拒否して相手にブラフは受けないと知らしめることもできるが、これは相手を難しい場所に追い込んでしまう。相手は面目を無くすか、あるいは次の死骸を投げる機会をうかがうようになるかもしれない。

投げつけられた猫の死骸の相手をすることは交渉の中でかなりの部分を占める。飛んできたものの中の情報をどのように選別し、どこまで中身を注意深く見るだろうか(猫は、実際のところどれくらい「死んでいる」のか?)。どのように反応すればよいだろう。これらは、学び備えておくべきスキルだ。どのように対処すべきか考え具体的にリハーサルしておくことは、事前準備の一環としてなすべきだ。

猫の死骸が飛んでくる驚きを完全になくすことは出来ないかもしれないが、事前にある程度予期しておけば、サプライズを軽くすることは出来る。

 

原文: The Politician and the Dead Cat


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