微妙な一線

公開されました: 10 01 , 2015
投稿者: ジョン・マクミラン

大手油田サービス事業者であるハリバートン社は競合のベーカーヒューズ社に350億ドルで買収提案を行った。また同じく油田サービスの大手シュルンベルジェ社は油田機器メーカーであるキャメロン社の買収に手を挙げ、買収価格は148億ドルという。バリューチェーンの一部(海底油田向けの切削ドリルなど)のみに特化している企業は厳しい状況におかれている。顧客との取引条件は厳しく、生き残りをかけて規模の大きな競合に買収されるか、もしくは廃業もやむなしか、という状況だ。18ヶ月前には一顧だにされなかった買収話が突然浮上し、歓迎すらされている!

血で血を洗うような厳しい事業環境のもと、ただでさえ少ない新規案件をモノにするために、サービス事業者は大幅な値引きを提供している。新規案件を手の内に抱える顧客は、今では交渉の上座に座っている。

北海油田の産油企業エンクエストは、油田サービス事業者にプロジェクトの形で定期的に仕事を発注している。いくつかの契約では、交渉の結果50%もの値引きを実現させている。現在の業界慣行は昨年度比20%の値下げだ。エンクエストのCEOであるAmjad Bseisuはロイター通信に次のように語っている。「当社は全ての契約請負業者に対して、契約をいったん打ち切るという通告をおこなっている。契約を改めるたびに"交渉する気があるか、あるいは競争に負けて退場するか"、と問うわけだ」

サービス事業者は交渉の余地が少ないため、請け負ったプロジェクトでは本来なら発注側が負わなくてはならないリスクも負わされるようになった。発注側は、この機に乗じてできるだけ自分の側のリスクを減らそうとしている。

「我々はサービス提供者を選べる立場であり、これまでとは違ってリスクをサービス事業者の側に移せるようになっている」北海油田の産油企業であるプレミアオイルのCEO Tony Durrantは語った。例えば海上オイルリグを提供する業者は、荒天でリグが使用されなかった場合、使用料を割引く合意をしている。1年前には天候などのリスクはすべて発注側が持っていた。

「リグを使用する期間が短いなら、リグを提供する業者は我々と交渉してきます。つまりこれはすべてバランスの問題なのです」とDurrantは述べている。

市場の循環的な変化に応じてパワーバランスは移り変わってゆく。現在産油企業と油田サービス事業者に起きていることは、そのような移り変わりの好例だろう。交渉者は常に柔軟な代替案案を持ち続けるべきだが、自分が交渉の上座にいるのか(その場合柔軟性はあまり必要ない)、下座にいるのか(柔軟性は非常に重要)を常に意識する必要がある。もしパワーバランスが逆風なら悪しき前例を作り出さないよう注意する。もしパワーが自分の側にあるなら、相手が呼吸を続けることが出来るだけの空白を残しておくべきだ。パワーが自分たちから相手に移り変わった時に、相手が報復心をたぎらせたりしないように!

その境界の一線は、限りなく微妙だろうけれど。

 

原文: A Fine Line


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