あの時どこに?

公開されました: 8 28 , 2014
投稿者: スティーブン・ホワイト

ケネディ大統領暗殺のニュースをどこで見たのかは誰もが覚えている。9/11もそうだ。私はディクソンの電器屋に居た。店頭の50インチ壁掛けテレビには2番めの飛行機がビルに向かって飛んでゆく姿が映しだされていた。私はテレビを購入して手続きの最後の段階だったが、恐ろしい悲劇が起こったと店員に告げた。「あれはテレビですから」と店員は言った。起こっていることが現実とは思えなかったらしい。

この攻撃は対テロ戦争を引き起こし、アフガニスタンの紛争へと、さらにはイラクへと続き、日々の生活を脅かしている。

5週間前、ウクライナの分離主義者が旅客機を撃墜し、300人近くの人々が犠牲になった。そのニュースを私はどこで聞いたのか、どうしても思い出すことができない。他の人達もどうやら私と同じようだ。この事件はメディアから消えている。直接的、間接的なロシアにへの非難は存在しないかのようだし、国連もこの事件は眼中にないようだ。あたかも悲劇は存在しなかったかのように。

先週、ジャーナリストのジェームス・フォーリーがISISによって処刑されるビデオが公開された。この事件はまだTVにとどまっている。英国をはじめ西側諸国では社会道徳上の許容範囲を大幅に超えた行動だ。ただし、メディアがこの件についてカバーを続けているのは、この行為が残忍だからというよりは、加害者がイギリス人である可能性が高いからだろう。

過去に強いショックを経験すると、現在起こっている惨劇にも鈍感になってゆく。この繰り返しを経て、加害者の行動はエスカレートする。加害者の目的は、ショッキングな恐怖を与えることにある。3ヶ月前、ボコ・ハラムがナイジェリアで300人の女子生徒を誘拐した。現在、イスラム国は何百人ものヤズィーディーやキリスト教徒を惨殺している。彼らの望む恐怖を作り出すために、あと何人惨劇を繰り返せば足りると考えているだろうか?

世界のISISへの態度は以下のようなものだ。テロリストの戦術がいかに苛烈なものだったとしても、復讐ではなく外交的手段によるべきだ。脅威に立ち向かうのではなく、対話を通して解決策を見出すために。私の考えでは、控えめに言っても、これは奇妙な考え方だ。

極端な行動に鈍感になってゆくことは、交渉者にも無関係ではない。ある種の交渉者は汚い手法を使う。誤魔化し、だまし、重要な情報を開示せず、脅かし、など。ビジネスでカードとして切られる脅威を戦争での脅威と同じだと言うつもりはない。ただ、一部の交渉者が使う手口はこれまでより極端になっており、これまで説明してきたのと同じ理由(交渉相手はそれまでの相手の行動を通して鈍感になっている)により、汚い戦術は、より極端になってゆかざるを得ない。

近年弊社が手がけたコンサルティングプロジェクトのケースを見るに、以下のようなことがあった。10年前なら酷い状況と考えたろうが、今は特段に目立つものでもない。当社のクライアントのとある取引先は大口顧客であり、購入数の見返りに20%のディスカウントを行っていた。ところが2015年の購入数は予算が削られて半分になり、しかしながら現在のディスカウントを超える30%を求めてきた。説明や理由は全く示されなかった。需要に柔軟性があるのかも全く分からない。それどころか、この要求を拒んだ場合、取引中止などの強い脅威をちらつかせてきた。

弊社のクライアントは外交的な解決を試みようとした。ミーティングを求め、顧客がもっと理にかなった行動を取るよう説得し、妥協案も準備していた。当社のアドバイスはこれとは全く異なり、まず脅威が論議のテーブルから完全に取り除かれ、顧客が理にかなった行動に戻るまで、この顧客とは一切の関係を断つとはっきりと顧客に表明せよ、というものだった。クライアントはそのように顧客に伝え、現在リアクションを待っている。

現在の世界情勢から学べる教訓はシンプルだ。汚い手に対する自分達の対応が煮えきらないものなら、相手側に、もっと汚い手を使って下さいと言っているようなものだ。読み違えることのない確固たる態度が必要となる状況は、確実に存在する。

原典: Where were you?


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