ウクライナ

公開されました: 3 06 , 2014
投稿者: スティーブン・ホワイト

ウクライナの情勢は日々刻々と変化しており、誰もこの先どうなるのかを見通すことは出来ない。紛争解決の専門家たちは交渉が始められる条件について、もう一度おさらいしておくべきだろう。自分達や後に続く人々が、今現在起こっていることを理解しておく必要がある。

なぜ今交渉が始められる条件について考えるのか?遅かれ早かれ当事者全員が交渉の席に着くことは不可避であろう。世界は、紛争解決にむけての交渉がこの数日中にも始まることを望んでいるが、例えばシリアの状況を見るに、そこに至るまで何年もかかるかもしれない。人間性の中に潜む知られていない何かが対話を拒んでいるかのようだ。過去2週間の進展から、交渉の際に考慮すべきポイントは以下の通りである。

 

合意は、課題を解決しない限り、保たれない

2月21日キエフでの合意によると、暫定政府を設立し、選挙を早急に実施することになっていた。この合意は崩壊した。数日間に渡りデモを続けてきた新欧米派の有権者は、ヤヌコーヴィチ大統領の即時退任なしには何一つ他に受け入れなかったからである。つまりヤヌコーヴィチこそが問題の根幹だった。合意は問題の根幹について何の解決にもなっておらず、崩壊した。

 

関連する全ての当事者が交渉に関与しなくてはならない

大統領が逃走した週には、ウクライナの東西対立、特に半自治区でありロシア人の多いクリミアの、政治的、文化的対立を解消することが主な課題となった。キエフでの交渉は複数の当事者が関与していたと思われるが、外部からはそのようには見えなかった。特にクリミアの人々にとって、そもそもキエフでの交渉は存在しなかった。もちろん、当事者たちの政治的なスタンスは大きく異なっていて、その間の溝を埋めることは出来なかったかもしれない。それでも、パーティーに招かないのであれば、クリミアは独自の路を歩むのが当然の結果となる。

 

プレコンディショニングは誰の目にも明らかになる

ロシアはプーチンの時代になってから特に、強攻策に訴えることが増えた。最近ではシリアに関する国連安保時理解の議決に反対を投じて阻止している。ロシアの戦術はプレコンディショニングと呼ばれるもの(相手に恐怖を植え付ける)で、これによって、続く交渉での展開を楽にしてゆく(より多くのパワーを有する位置を占める)ことである。クリミアにロシア軍が侵入し緊張を高めることは、交渉が始まった時に、彼らのポジションをたかめることになる。西側諸国の対抗策はビサの制限や経済制裁だが、これらは緊張を作り出すための手段としては、ロシアと比較して弱いと言わざるを得ない。いずれにせよ、両者がお互いに何をしているのかは誰の目にも明らかであり、脅威をつくりだす目的も効率よく去勢することができる。

 

ウソをつくことは、外交上は役に立つ

ロシアはクリミアに侵攻しているわけではないと主張しているが、笑止千万だろう。本稿を書いている間もSky Newsを聞いているが、ジャーナリストがこの信じられない犯罪行為を報じ続けている。ロシア軍は先週末にクリミアに展開し、今でもそこにとどまっている。ただし、仮にロシアが戦術として「仮に…なら…?」というアプローチを使えば、これは交渉のプロセスを始める手助けになるかもしれない。「仮に、だが、我々ロシアが先週末にクリミアに展開した6000人の部隊を、既に駐在していたロシア軍の補充部隊と考えたら?たとえば、だが、この6000人は、既にそこにいる部隊を手伝っているだけだと主張したらどうなるだろうか?西側諸国よ、抗議をやめて、交渉を始めないか?」

 

だが、ウソは交渉のプロセスでは、役に立たない

ウソをつくことの大きな問題点は、交渉のテーブルでは以前にウソを付いた当事者は信頼されない、という点である。ウソは巡り巡って自分に帰ってくる。

 

大きな脅威は進展を助けるのか、それとも阻害するか?

一つの仮説ではあるが、1994年、ソビエト時代にウクライナに配置されていた核ミサイルが現在ウクライナ政府のコントロール下にあったとすると、ロシアは全く違った形でウクライナと向き合っていたのではないか、と言われている。もっとも、これでは今現在進行中のイランの核開発問題とよく似た話になってしまう。亡命した科学者が密かに核開発に手を染めれば、世界は安全な場所ではなくなる。世界がテロリズムに協調して対処しようとしても、必要な手立てを講じることができなくなる。

 

これらの戦術を見るにつけ、国家の命運をかけた交渉も、よりありふれたビジネスの交渉も、大きな違いは無いと分かる。掛け金は高いが、プロセスは同じである。

原典: Ukrainian Tractors


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