犯しうる最悪の間違い

公開されました: 10 02 , 2014
投稿者: アラン・スミス

交渉に臨むにあたり犯しうる最悪の間違いはなんだろうか?いろいろなことが考えられるが、その中で際立っているのは「準備不足」だ。

昨年はクリス・ライアンのベストセラー戦争ノンフィクション「ブラヴォー・ツー・ゼロ」が発売されて20周年だった。正直に言えば最初に発売された時に私は読んでいない。ミリタリーオタクのためのノンフィクション、という印象であり通勤の電車や地下鉄で読むのは気恥ずかしかった。当時は通勤時間が私の主な読書時間だった。

それからKindleが発売された。素晴らしいデバイスだ。どんなものでも読むことができるし、何を読んでいるか誰も気にも留めない。キプリングだろうと「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」だろうと。私の趣味も、どちらかというと後者に近づいていたようだ。

というわけで「ブラヴォー・ツー・ゼロ」をKindleで購入し読み進めることにした。

ご存じない人のために説明しておくと、ライアンは英国の特殊部隊SASの隊員であり、湾岸戦争でイラク国内に深く侵入し、スカッドミサイルを破壊する任務を与えられた部隊の一員だった。物語は紛争時の血なまぐさい記録であり、今日の世界でも我々が忘れてはならないものだ。

部隊がヤギ飼いの一団に見つかったため任務は失敗し、部隊は逃走しなくてはならなくなった。

交渉者なら誰でも知っていることだが、相手との最初のコンタクトの後で事前に計画した通りにゆくことなど、まずない。この本を読んで私が最も驚いたのは、任務の前におこなわれていた膨大な準備や計画だ。

部隊は何週間も費やして、あらゆる不測の事態に対応する計画を練っていた。隊員の役割は十分に決められており、任務進捗のしるしとなるサインポストや情況が変化した際の脱出方法も決められた。

スカッドミサイルを破壊する際には、サービスハッチの内側にどのように爆薬を配置するかを計画した。ハッチはどのように開くのか、左から右か、右から左か、上から下か、それとも下から上か。もしハッチが溶接されていたらどうするか。簡単にいえば、あらゆることに準備がなされた。

ライアンによると、過剰なまでに徹底的な準備を通してはじめて、実戦で情況に向き合った時にクリエイティブに対応できるようになるのだという。そして面白いことに、準備してこなかったことにも対応できるようになる。あらゆる情況を考慮しておけば、更なる不測の事態への対処方法に扉を開くことになるのだろう。

交渉の準備では、このレベルのものをみることはほとんどない。「ともかく会って何が起こるか見てみよう」という程度の準備に出くわすことが多い。SASのレベルとは全く違う。

次の交渉では、多くのことを事前に備えておかなくてはならない。とはいっても、一番重要な点は「ともかく何らかの準備をせよ」という点だろう。

ミリタリーオタクの世界では「計画しないことは、失敗を計画しているのと同じ」だそうだ。この罠に落ち込まないように。

原典:  The Biggest Sin of All


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