あなたはとある交渉の準備をしている。提示価格をいくらにするか、決めるところまできた。相手にとって大事なのは、いや、おそらく一番重要なのは、価格だ。
ひょっとすると価格と同じく重要なこと、例えば、納期、品質、条件などを先に論ずることも出来るかもしれない。この段階ではあえて他の課題を論ずることはしないかもしれないが、本来ならば価格に限らず他の変数も論議に含めるべきである(が、この話はいったん脇においておこう)。
どんな数字を提示すれば、受け入れられる可能性が最も高いだろうか?交渉では正確さが非常に重要であることが分かっている。
Journal of Experimental Psychology誌に発表されたとある研究によると、最初の提示が正確なら交渉で得られる成果が改善されるという。この研究では、買い手は中古車を購入する際に、2000ポンド、1865ポンド、2135ポンドの3つの価格を売り手から提示された。最初のものは四捨五入された数字であり、残りの2つは正確な数字だ。
売り手が最初に価格を提示した後、買い手が逆提案を求められる。更なる価値を得るべく、逆提案では売り手の提案に条件をつけたり新たな変数を持ち込むべきだが(先ほどと同じく)この話は他の機会に論じることとしよう。
最初の価格提示で正確な数字を示したほうが、逆提案では売り手にとってずっと好条件を得ることが出来た。四捨五入した数字を最初に提示した場合逆提案の数字は平均して23%低かったが、最初に正確な数字を提示していた場合、逆提案は10%から15%の低さにとどまった。
面白いことに、1865ポンドでも2135ポンドでも結果は変わらなかった。数字のものではなく具体的に特定しているかどうかが逆提案に影響を及ぼしていた。
正確な数字を提示するという戦術は、ビジネスの交渉でも役に立つ。正確で具体的に特定された価格を提示する交渉者は、四捨五入した数字を最初に提示する交渉者より23%多くを手にする、というわけだ。いくつかの理由で、提示された価格は最終合意までの間、アンカリング効果を発揮するようだ。
売買契約や自分の給与、スケジュールなどを交渉する際は、このことを覚えておくと良いだろう。
より良い結果を手にすることが出来るかもしれない。
原典: Precisely...
筆者について:
アラン・スミス
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