フォー・ウェディング

公開されました: 5 08 , 2014
投稿者: アラン・スミス

無名の出演者、放縦なキャラクターの女性主人公、出演者の悲劇的な死や低予算にも関わらず「フォー・ウェディング」は英国史上に残る映画となった。

英国で公開されてから今年で20年になる。出演者にとっては代表作であり、全世界の興行成績は2億5000万ドル、300万ポンドの低予算映画としては悪くない結果だ。

この映画の制作は長い間陽の目を見ること無く、制作チームが予算をつけてもらうまで何年もかかった。台本の書き直しは17回にも及び、主演にぴったりな俳優が見つかるまで10人を超える俳優がオーディションを受けたという。

撮影中には、トレーラーハウスの費用を節約するために、俳優はロンドンの数カ所に分かれてグループで滞在した。貴族は自分のモーニングスーツを持っているので結婚式のシーンでエキストラとして出演するように依頼された。米国の映画俳優アンディ・マクドウェルは少額の出演料を求められた。すべて、映画を予算内で撮り終えるためである。

ヒュー・グラントは、いろいろな意味でこの映画で俳優としての立ち位置を得ることとなったが、撮影が始まる前から既に満身創痍だった。問題は2つ。まず、脚本家のリチャード・カーティスは、グラントは女性に素直に接することが出来ない人物として描くにはハンサムすぎると考えた点。今になってみれば、この見方は正しかったろうか?

第二の問題は、その時には無名の俳優だったグラントに、エージェントが4万ポンドの出演料を主張したという点。33歳の彼は、その時主な出演作品といえば「モーリス」一本のみ、要求された出演料は予算を5000ポンド超過していた。

グラントのエージェントであったマイケル・フォスターは「4万ポンドで出演は決まりだ」と言った。

プロデューサーのダンカン・ケンウォーシーは「すまないが、それは無理だ。3万5000ポンドで決まらなければ、我々は彼を失う」と言った。

交渉者にとっては、この話はいくつかの教訓を含んでいる。まず、自分のリミットポジションを知っておくこと。ケンウォーシーはよく理解していた。彼はグラントとの話を破談にすることも考えていた。ちなみに、その場合誰が出てきたのだろうか。

第二に、単に譲歩するのではなく、交換できるものを十分に持っておくこと。交渉相手が動くことが出来るよう、相手にとって価値のある変数を持っておこう。グラントは出演料を3万5000ポンドに下げる代わりに、ポスターで最も目立つ場所を得たり、予告編での露出を増やすこと、撮影中のランチを最初に出してもらえることなどを交換しただろうか。我々には絶対にわからないことだが。交換を通して双方の価値を作り出すための長いリストを備えておくことは、交渉では欠かすことが出来ない。

第三の教訓は、交渉では時に、時間のスパンを広げて考えなくてはならない、という点。

グラントは、次の映画では700万ポンドの出演料を要求することが出来た。

もし4万ポンドに固執していたら、今頃彼は何をしていただろうか?

原典: It's your funeral!


共有する

blogAuthor

筆者について:

アラン・スミス
No bio is currently avaliable

Latest Blog:

不利な取引をするならしないほうが良い?

Brexit交渉は、この先2年から3年の間、交渉について格好のネタ元でありつづけるだろう(それよりもずっと長くなると主張している評論家も居る)。このブログを読んでいる海外の方には、前もってお詫びせねばならないかもしれない。多くの教訓を引き出せるだろうし、それに何よりも、以下のような人にとっては教訓のある話になるだろう。...

Latest Tweet:

スコットワーク株式会社
スコットワーク株式会社 103-0023
東京都中央区日本橋3-3-6
ワカ末ビル7F
Japan
+81 3 6202 2839
info.jp@scotwork.com
Follow us
cpd.png
voty2016_sign_gold.png