その言葉を信じられるか

公開されました: 5 01 , 2014
投稿者: スティーブン・ホワイト

オスカー・ピストリウスの公判中に、私は判事をつとめて30年以上になるる友人と話す機会があった。私は彼に「誰が本当のことを言っているのか、分かるものなのか」と質問した。このような能力は、原告と被告とどちらにも証人が居ない訴訟では特に重要である。「わかる」と彼は言った。感覚として分かる、絶対に間違えないとまでは言わないが、どちらが本当のことを言っているのか分かることが多い、という。

オスカーの演技っぽい仕草や、泣き叫んだり頭を抱え込んだり果ては嘔吐までしたが、こういった行動は彼が信頼を得る助けになったろうか?逆だろうか?と私は尋ねた。「ボディランゲージを読むことが出来るかどうか、真に感情がこもっているかどうかがキーだが、しかし、文化的な差異を考慮しなくては」長く法曹界で過ごしてきた友人はそう答えた。例えば、西欧では目を見る人間のほうがそうでない人間より信用できると考えるが、階級社会の名残として目上の人を直接じろじろ見ることが無作法になる文化は、世界にはたくさんある、と彼は続けた。こちらの目を見ないからといって、嘘を言っているということではない。

どうしたら信頼してもらえるのかを見つけ、信頼を確立することは、裁判のみならずビジネスでも非常に重要だ。ミーティングの席では、往時にして自分が一度も合ったことのない人の「事実」に、何の証拠もないままに耳を傾けることになる。(来週の火曜日までにどうしても必要だ、競合はこの見積より5%安い、他の会社はすべて今年値上げすることに同意した)。相手の言葉には明らかな違和感を覚えたとしても、ともかく、相手は自分たちの意見や立場に挑んできているのだ。

このような状況にどのように対処するのだろうか。パストリアスの裁判と同じく、好奇心こそが非常に重要な役割を果たす。この裁判におけるスターはゲリー・ネル検察官だろう。彼の尋問は攻撃的すぎると考えてる人もいる。スタイルの問題だが、細部を詳細につまびらかにして、隠されている矛盾点を突く鋭さは、マシーパ判事や我々のように外から見守っている者達に、信頼できるとはどういうことなのか、考えるヒントを与えてくれる。ビジネスでは我々の姿勢はあそこまで苛烈でもないし対立的でも無いが、辿るべき手法は同じだ。仮説をテストし、矛盾点を見つけ、言葉を注意深く解釈し、シグナルに耳を傾ける。これらが、相手から渡ってきた情報の質を判断する助けになる。

包装材のセールスマネージャーとして、ある顧客のミーティングに同行したことがあった。その会社は重要な大口顧客だったが、競合から出てきた見積が自分達がどう逆立ちしても近寄れないくらいに安価だったので、ビジネスを失う危機に瀕していた。同僚と私は、相手から開示された情報を少しずつ探った。顧客は冷静であり、オープンでもあり、我々は顧客の言葉を信じ始めていた。何かの証拠を見せて欲しい、という質問をするまでは。単に全く同一条件での見積であることを確認したいだけだった。突如として顧客は怒り始め、感情に身を任せて攻撃的になり(とはいっても、彼は泣き叫んだり嘔吐したりまでは行かなかったが)、なぜ自分を信用しないのかと責め始めた。

我々はビジネスを失うことを覚悟して決裂した。顧客は自分で自分を窮地に追い込んでしまった。というのも、安価な見積は存在しなかったから。我々の価格を下げるための単なる策略だった。1週間かそこらの後、再びミーティングが持たれた。我々は形だけの価格改定を行い、彼はといえば、サプライヤーを変更すると箱のアートワークに問題が生じる可能性があるとわかった、と主張して面目を保った。

オスカー・ピストリウスの芝居がかった行動を見るに、おそらく彼は求刑通りに有罪だという印象だ。個人的な意見としては、これまでの証拠も、この見方を支持している。しかしながら、判決を下すのは判事だ。どのような結果になるのか、すぐに分かることだろう。

原典:  I Believed Every Word


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