勝利のパッケージ

公開されました: 11 13 , 2014
投稿者: ロビン・コープランド

英国の政治家や政治論争好きな人々は歯ぎしりして悔しがったことだろう。選挙の都度毎回「近年稀にみる重要な選挙」と言われるが、EUに留まることと、そのための資金が争点になる。

先月(2014年10月)、EUは英国に対して17億ポンドの拠出金を要求してきた。要求は唐突であり事前に何の通達もなかった。デビット・キャメロン首相は即座に最高警戒態勢をもって即応し、EUがこの要求を伝えてきたやり方や発表のタイミング、内容がはっきりししない点などをおおっぴらに非難した。この金額は個人の金銭感覚でみれば腰を抜かすような金額だが、国家レベルで見れば比較的少額と言えるだろう。

とはいってもキャメロン首相はこの要求に向き合わねばならない。しかも彼は難しい立場にある。選挙の年は近く、伝統的な政敵である労働党に加えて、新党UKipからもチャレンジを受けている。UKipの唯一の存在理由は、UKをEUから離脱させることだ。立法機能がロンドンからEUの本拠地ブリュッセルに映ってしまったことに不満を覚えている有権者はUKipを支持しており、UKipにとっては好都合な出来事だ。労働党は英国の伝統に則ってどんなことにでも「反対」を唱える。国庫に17億ポンドの穴が開くとなれば(実際金額はどれほどでも良い)、格好の攻撃基地を前線に得たということになる。

というわけで、キャメロン首相は怒り、財務大臣ジョージ・オズボーン氏も怒った。UKipリーダーのナイジェル・ファラージュ氏はビールを何パイントか飲みタバコをくゆらせ、銀の皿に載せて差し出された素晴らしいチャンスを眺めて歓喜に浸りながら揉み手をしている。影の財務相エド・ボールスは正気を取り戻した。事の成り行きを楽しんで見守っている人達にとっては、これ以上ない政治ショーだ。

そしてついに、キャメロン・オズボーンの交渉チームが彼の地から英国に戻ったと発表された。飛行機のタラップの下で、すべて心配ない、と小さな紙に書かれた声明文を読み上げた。EU本部の顔の見えない官僚達と「ひねり出した」合意によって、支払金額は半分になり、支払いは次の総選挙の後まで延期される。

エド・ボールズ氏は、キャメロン首相とオズボーン財務相は、どのみち払わなくてはならない債務を先延ばしにしただけだ、と批判した。ヨーロッパ大陸は別の新たな資金源を得たというわけではない、というのだ。ナイジェル・ファラージュ氏はITVの番組「アジェンダ」の中で、英国はEUに対して、17億ポンドの請求書など突っ返せばよい述べた。ではどうするのですか、と問われて、彼は答えた。「そんなものを払うつもりは無い、絶対にだ」

さて、11月8日になり、ガーディアン誌が全てを明らかにした!そう、確かに交渉はおこなわれた。だがその交渉は形の大きなリパッケージだった。支払いを遅らせること、また、英国の有権者により受け入れやすく見せるために、支払金額に既存の拠出金を含めることとした合意により、英国政府は大きな正義を勝ち取ったように見えた。しかしながら、EUにとっては死活問題となる歳入は、EUにしてみれば保証されたわけだ。

もし交渉の結果を持ち帰っても認めてもらうことが出来ないような取引を無理強いさせられると、交渉者は非常に難しい情況に置かれることになる。熟達した交渉者はいつでも、受け入れがたい取引をリパッケージして、相手の持ち帰り先で飲み込ませやすいようにするものだ。

原文: A winning package


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