グランジマウス

公開されました: 10 24 , 2013
投稿者: ロビン・コープランド

グランジマウスという町のことは、おそらくご存じないだろう。生みの親でさえ、この町を美しいとは呼ばないだろう。いくつもの煙突が屹立し、煙突から上がる炎はスコットランド東岸、エディンバラから15マイル離れたフォース河河口の入江の夜空を明るく輝かせている。この近辺には製油所が集中しており、スコットランドのGDPの10%に相当する富を生み出している。製油所はイネオスという名前の会社のものだ。この会社の名前も聞いたことはないだろう。英国で最大の非上場企業だ。

そしてまた、ステファン・ディーンズという男の名前もご存じないだろう。労働組合「ユナイト」の委員長であり、過去24年間グランジマウスの工場で働いている。このブログの読者なら、ユナイト労働組合がファルカーク労働党に浸透を試み、2015年の選挙で自分たちの息のかかった候補者が当選するよう仕向けた疑惑を覚えているだろう。さて、ここから話が膨らんでゆくわけだが、ステファン・ディーンズはファルカーク労働党のリーダーであり、ファルカーク労働党の何十人もの新メンバーを承認する立場にあった。ユナイトはファルカーク労働党組合員の労働組合費を肩代わりし、見返りに組合員がユナイトが推薦する候補者を支持するよう求めたと言われている。BBCスコットランドのジェームス・クックの記事によると「組合員の何人かは、製油所内、すなわちディーン氏の雇用主であるイネオスの所有する資産の敷地内で、組合に加入するよう勧誘し加入手続きをおこなった」と書いている。これはイネオスの規則に反しており、ディーン氏は休職になった。

会社側は独自の調査をおこない、結果は10月18日に発表されることになっている。組合はディーン氏の即時服飾を求めており、会社側が従わなければストライキを行うと主張した。

論争はACAS(労働紛争調停・仲裁勧告機関)に持ち込まれたが合意には至らなかった。結局組合はストライキを決行した。会社側は、製油所は既に閉鎖に向けての途上におり、どのみち閉鎖されると主張した。そこから話がもつれ、こじれはじめた。会社側は製油所は赤字だと言い、組合側は会社が数字に手を加えていると主張した。会社は製油所が存続するためには労働慣行をすべて変える必要があると主張した。組合はいかなる労働慣行の変化にも抵抗している。会社は今では従業員一人ひとりに直接あhなしており、通常のコミュニケーション経路をバイパスしている。

これらがどういう意味合いになるのか考えてみよう。英国で精製される原油の13%を精製し、スコットランドで使用される燃料の70%を供給している製油所がある。会社は、この製油所は毎月1000万ポンドの損失を出しており、何らかの変更が実現されない限り2017年にも閉鎖されると主張している。両陣営のリーダーの応報は、このあたりから荒っぽいトーンになってゆく。スコットランドのユナイト議長であるパット・ラフェルティは「イネオスがグランジマウス製油所を閉鎖するという意思決定は、経済的破壊行為だ。会社が製油所を閉める理由など何一つ無い。会社はスコットランドから身代金をせしめようとしている」と述べた。

これまで会社と労働組合の紛争において、双方の交渉者の個性がぶつかりあえば、必ずと言っていいほどコントロール不能な情況に陥ったという点は覚えておく必要がある。ここから抜け出すには、それぞれの側で違うチームが交渉に当たること、主要な目標を思い出すこと、ギブアンドテイクの交渉プロセスにすること、そして、とくにお互いに頭に血が登っているときには難しいけれど、相手の面目を立てること、だ

そもそも目的はといえば(常に目的に立ち返るべきだ)製油所の操業を続けることだろう!

双方の交渉者は、この目的をあらためて見つめなおし、確認すべきである。

速報!:10月24日正午

衝撃的な展開だ。10月23日、イネオスはグランジマウスの石油化学工場を閉鎖すると発表した。この脅威はユナイトの代表者を交渉のテーブルに再度着かせ、大きな譲歩を強いることとなった。今朝の会合の結果として、ユナイトは会社が提案してきた変化をすべて受け入れた。今や主導権はイネオスの側にある。

このようなドラマティックな進展の裏側には大物政治家の関与があるのだろう。本文中で述べたように、グランジマウスは非常に重要な工業施設であり、現在のオーナーの意向だけで一方的に閉鎖されることは出来なかったのだろう。

原典:  The Two Faces of Grangemouth

 


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