弱者の戦い | Negotiation Blog

公開されました: 10 03 , 2013
投稿者: スティーブン・ホワイト

大企業が小さな相手に敗北を喫することが多くなった。最近の例を2つ挙げよう。テスコはサフォーク州ハドリーでスーパーマーケットを開く計画に応札した。地元企業は80,000ポンドのフィーを支払ってトップクラスのコンサルタントを雇い、結果としてテスコの計画は頓挫した(詳細)。これが2日前のニュースだ。そして昨日、オーストラリア・メルボルンから20マイル離れたテコマという小さな町がマクドナルドの出店計画を止めさせたニュースが世界を駆け巡った(詳細)。

何の力も無い個人や小さなコミュニティが巨大企業と戦い、周囲の予想に反して勝つという物語は魅力的だ。「エリン·ブロコビッチ」や「フィラデルフィア」「ローカル・ヒーロー」などは人気のある映画だ。映画の筋書きや、パブリシティで紹介された物語の概要は感情に訴える。邪悪なグローバリズム、個人の権利の侵害、潤沢な資金を持つ相手に限られた費用の制約、など。

しかしながら、実世界では、戦いは常に事実に基づいて争われる。ハドリーで雇われたアドバイザーは、もしテスコが出店してきた場合、地元の14のビジネスが消え、また、町の交通インフラが破綻すると助言した。地元の計画委員会もこの助言に同意した。オーストラリアのテコマでは97000人の署名が集まった。地元にマクドナルドができることへの嫌悪感の強さを示している(テコマの人口が2000人であることを考えると、実に印象的だ)。この署名はシカゴのマクドナルド本社に伝えられた。地域の計画審議会はこの請願に同意し、マクドナルドの事業計画に承認を与えなかった。しかしながらオーストラリアの国家計画審判所は計画審議会の拒否を覆し、係争は現在も進行中だ。

事実そのものが結果を決めるのではない。事実をどのように提示するのかが、事実そのものと同じくらいに大事だ。大規模開発についてハドリーやテコマ並に拒否感の強い反対運動でも、上手くゆかないケースは多い。事実は反対派に理をあたえる。しかしながら、伝わる形で事実を機能させることには失敗したのだろう。大規模な宣伝キャンペーンが効果的というある種の思い込みがあるが、キャンペーンが地元の外でニュースの見出しを飾るようになるのは、地元が既に勝ちを収めた時か、あるいは両者が拮抗しているときだ。


多くの係争は、紛争当事者がそれぞれ違う優先事項を持っているために生じる。大規模スーパーマーケットにしてみれば、長い営業時間、多種多様な商品、低価格だ。地元で反対する人達はこれらを理解しているものの、地元のビジネスが続いて行き、地元で作られた商品を売り、歴史と共同体の精神を継承してゆくことに意義を見出している。

地元の人々が勝ちを収めたケースを深く観察するに、彼らは交渉の前の準備段階で長い時間をかけて準備し、事実をどのように提示してゆくかを練習していた。自分たちの優先事項を何度もレビューし、相手の優先事項も同じようにレビューし、更には、自分たちが優位な点や、すくなくとも共通の土壌で戦える部分を探した。そこまで備えたからこそ、これから向き合う交渉相手の決定を変えることが出来たわけだ。かように備え、そして彼らは勝った。これこそが、あるべき姿だ。

残念ながら地元が大企業に「勝ち」をおさめることは非常に稀だ。地元で反対運動を主導する人達は巨大企業の意思決定を変えることは出来ない。巨大企業にしてみれば、どのような論争が起こり、地元が何を反対しているかなど、とうに分かりきっている。その代わり、地元の人達は、その地域の計画を承認する立場の機構や人などの、調停役となる第三者の考えを変えるべきだ。調停役の第三者は、係争の双方が事実を提示してくるまで事実をほとんど何も知らない。だからこそ、事実を通して第三者の意見は変えることが出来る。

というわけで、反対派であるあなたが、係争の相手と静かに話し合い、事実を説くと相手の眼から鱗が落ちて相手の非を認めてくれる、などということは、フィクションに過ぎない。まぁやってみる価値はあるかもしれない。だが、第三者の調停役が居ない場合は、相手を説得して勝とうとするよりも、交渉スキルに頼ったほうが良い結果が出る。

 

原文: The Battle of the Underdog


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