人としての魅力は交渉の武器になるか

公開されました: 10 17 , 2013
投稿者: スティーブン・ホワイト

オックスフォード英語辞典によると「魅力(Charm)」とは「他者を喜ばせたり惹きつけたり魅了する力や資質」と定義されている。この言葉は最近就任したイランの大統領ハサン・ロウハーニーを評する際によく使われる。例えば9月24日の国連総会でのスピーチを評して「魅力的な指導者」と言われた。ロウハーニー大統領の「魅力」のどれほどの部分が、前任者マフムード・アフマディーネジャードの「魅力の欠如」によるものか判定することは難しい。長年に渡り西側諸国の政治指導者は、イランの核開発は平和目的のためという同国の主張に疑いの目を向けており、イランからの支援があるのでアサドが政権の座にとどまっていると信じてきた。ロウハーニーの魅力の理由が何にせよ、今では西側政治家はこれらの課題に取り組むという彼の言葉を信じ始めている(スピーチは こちらで読める)。結果として、長年に渡り滞っていたイランと西側諸国との交渉が再開された。ロウハーニー氏は自らの魅力を活用してイラン側が交渉を主導している。

私はロウハーニー大統領を非難する気も擁護する気もない。それよりも「魅力」について、もっと一般的なことを考えてみたい。「魅力的な」人物は、交渉で成功する確率が高まるだろうか?ビジネスの交渉では、この論議への答えは真っ二つに割れている。セールスに関わる人は、買い手と人間的な関係を構築する能力はビジネスを形にしたり競合に勝つ上で大きなファクターだと主張する。一方、買い手の側は、人間的な関係を築くことを避ける戦術を取り、パーソナリティとは離れた部分でビジネスが進むようにする。この戦術を突き詰めてゆけば、RFPやe-オークションなど、人間的な要素をブロセスに一切持ち込まない購買手法に行き着く。

とはいっても、我々は皆、カリスマには心を奪われる。事実こそが王であり感情は毒と見做すバイヤーが魅力に目を向けることを拒む理由がここにある。心の奥底では、自分たちも他の人と同じように、魅力には心を動かされると知っているのだ。成果を出しているセールス組織には「魅力的な人物」が居ることが多い。関係構築に長けており、その人の話を聞いてみたいと思わせるような特性を備えた人達だ。

ここまで述べてきたことには自明だろう。ここから一歩先に進めて、違う角度から考えてみよう。セールスに関わる人達も、購買の人がそうであるのと同じように、魅力的な人物からは影響を受けやすい、という点だ。トップに魅力的なバイヤーを頂く組織は、魅力的でない人物がトップに居る組織よりも業績が良い傾向にある。これは何も深遠な秘密があるわけではない。サプライヤーにしてみれば、悪夢のような人物の居る組織よりも、魅力的な人物の居る組織に対して支援も努力も向けやすい。「魅力」の副産物は「信頼感」だからだ。相互に信頼しているグループのほうが、そうでないグループよりも、オープンでクリエイティブな論議を通して良い結果を出すことが容易になる。

「単なる良い人であれ」と言っているのではないことに注意してほしい。つまらない、どうでも良い人物であってはならない。むしろ、カリスマ的な人物として、双方が認め合う存在でなくてはならない。

もちろんどんな事にも例外はある。元NASDAQの会長であり史上最大の巨額詐欺事件の犯人バーナード・マドフは魅力的な人物であり、何千人もの賢い人々は彼を信頼し、詐欺の被害にあった。2003年の映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でレオナルド・ディカプリオが演じた詐欺師フランク・アバグネイルも同じような人物だった。

さて、ロウハーニー大統領はどうだろうか?

原典: Charm Offensive


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