不利な取引をするならしないほうが良い?

公開されました: 4 10 , 2017
投稿者: ロビン・コープランド

Brexit交渉は、この先2年から3年の間、交渉について格好のネタ元でありつづけるだろう(それよりもずっと長くなると主張している評論家も居る)。このブログを読んでいる海外の方には、前もってお詫びせねばならないかもしれない。多くの教訓を引き出せるだろうし、それに何よりも、以下のような人にとっては教訓のある話になるだろう。

  • 交渉の本当の姿を知らない人
  • テーブルの向こうにコワモテの交渉者が座っている状況でどのように感じるか、経験がない人
  • 上っ面だけ見ると正しいように聞こえる無責任なコメントをする人

英国の首相テレサ・メイは最近、次のように断言した。「不利な取引をするならしないほうが良い」ふむ、メイ首相はこの先、この言葉を、交渉者から数知れず聞くことになるだろう。優先順位やゴール、目標を考える際には、たしかに一考すべき教訓だ。例えば、営業が取引を勝ち取るために、金額面での譲歩を迫られているような状況では、これは価値のある考え方と言える。

かつて私の同僚は、あるスーパーマーケットと「1000ケースの契約」を締結したときは最高に嬉しかったと述べた。実のところ彼は魂を相手バイヤーに売り渡しただけだった。実際にやったことは、スープの缶詰を、売れ行きではなく単にパレット単位で供給しただけであり、1ケース売れるごとにこちらが損失を被っていた。取引条件はすべて、彼が大量のケースを販売した実績作りのためだけに合意されていた。他の誰かが(実は私なのだが!)滞留していたスープ缶の在庫を大幅値引きで処分すべく件のスーパーマーケットを訪れた時、この話は終わった。販売数しか頭になかった同僚が締結した契約は、ほどなくして打ち切られた。

Brexit交渉にはそんな薄っぺらい言葉は出る幕が無いようだ。下院のBrexit委員会は報告書を公表したが「取引しないほうが良い」という言葉には大多数の委員が懐疑の目を向けている(何人かの委員は最終報告書に署名することを拒んだ)。委員会は「取引をしない」コストは本当のところ何なのか、より深く調査するよう求め、結果としてマイナスな点が多いことが判明した。委員長ヒラリー・ベン氏はBBCとのインタビューにおいて、金融、農業、運輸交通の分野で「取引しない」がどのような影響を及ぼすか、さらに調査すべきと答えた。

こういうことだ。先週の首相の演説を目にすれば、どんな交渉者でも自分の担当領域の交渉を決着しようとする。首相は、現実的で法にかなった目標をビジョンとして掲げ、これが英国の交渉チームが目指すべきゴールとなった。この点において首相は絶対的に正しい。だが同時に、交渉者は、個別の案件ごとに、どこまで交渉できるのか、どのような譲歩が可能でありどこで強い態度を取れるのかについて、詳しく知っておく必要がある。言葉を変えれば、交渉者はその交渉におけるリミットを知っておく必要がある。リミットを知る方法はいくつかあるが、自分がその条件を達成できない状況を想像してみることだ。それは、自分のリミットを下回ったものだろうか?仮にそうだとしたら、あなたは自分のリミットについて、考え直してみる必要がある。

もちろん交渉者は自サイドのリミットに注力すべしと言っているのではない。「ノーディール」の結果を常に意識せよ、と言っているのだ。英国の交渉者たちが、自身のリミットポジションについて、深く考えていることを神に祈ろう。


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